ドーソン~デンプスター・ハイウェイ

カナダ - 150年 街道をゆく

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ドーソン~デンプスター・ハイウェイ

オーロラインで二泊したが、デンプスターがまだ開通しないので、少しランクが落ちるエルドラド・ホテルに移った。良いホテルは埋まっているので、延泊できなかったのだ。

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このランクのホテルになると、だんだん部屋にWIーFI(インターネット)が入らなくなる。正面は立派でクラシカルだが、奥はただの平屋の長細いホテルだ。

チェックインした翌日、部屋を出ると、隣の部屋のドアに「魔女はここです。ノックしてね」という小さな看板がドアノブに掛けてある。お客が次々と来るようで、ノックの音や話し声が聞こえる。

なんだか気味が悪いので、受付で「あの魔女っていうのは何ですか」と訊いてみた。

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「ああ、あれはカイロプラクティスをやってる人よ。毎週、ここで部屋を借りて営業してるの。地元の人に人気なのよ」

「カイロ? それがなんで魔女になるんですか」

「気功とか占いとか、生活上のアドバイスなんかもするみたい。それで魔女って名乗ってるだけよ」

 しかし、ここも二泊しかできず、次にバンクハウスというホテルに移った。もともと銀行だった建物を改装した、ドーソンでも非常に目立つ安ホテルで、部屋は四畳半くらいと狭い。シャワー、トイレは共同だ。このレベルのホテルだと大体空きがあるが、不思議なことにWI-FIはよく入る。

これ以上デンプスターが開通しないと、やがてキャンプ生活になるかも知れないと心配になってきたのだが、チェックインした当日に観光局へ確認に出かけると、たった今、開通したという連絡がきたという。合計で復旧まで一〇日ほどかかったことになる。

「こういうことはよくあるんですか?」と念のために訊くと、「復旧に二、三日かかることはよくあるけど、ここまで長くかかったのは珍しいわ。私は初めてだわね」とスタッフのお婆さん。

カナダの中でもかなり辺境になるので、こうした天災からの復旧はかなり時間がかかるだろうと思っていたが、ここ一番のカナダ人の集中力はやっぱりすごい。私もそれに賭けていたのだが、やってくれたかと嬉しくなった。ひどいときは七か所ほど寸断されていたので、復旧工事も大変だっただろう。

バンクーバーで買い溜めした米、うどんなどの日本食に加え、ドーソンで生鮮食品を少し買ってから出発した。イヌビックにスーパーがあることはわかっていたが、無人地帯がつづくデンプスターでは途中で何があるかわからないので、念のために余分に食糧や飲料水を買っておく。

全てダート道のデンプスター・ハイウェイは全長736キロあるので、中間地点でどうしても一泊して、ガソリンも給油しなければならない。中間地点にあるイーグル・プレインのモーテルを電話予約して、朝早くから移動を開始した。イーグル・プレインのモーテルはメールでも予約できるが返事がこないらしい。電話予約が確実だ。

クロンダイク・ハイウェイから、デンプスターに入ると、さっそくダート道になる。

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これは後でわかったのだが、ダート道といってもいろんな種類があり、硬く締められたアスファルトに近いものから、泥炭地のようなところもある。これは天候にも左右されるから、そのときの運としかいいようがない。とにかくパンクしないことを祈るだけだ。必ず一度はパンクするという人もいるが、おそらくそれは、タイヤの種類が公道用なのだろう。私はデンプスター用にダート用のSUV(四駆)を借りることができた。タイヤも太いものだ。

デンプスターに入ると、すぐに「ここから先、緊急医療サービスはありません」という看板が掲げられている。一人旅ということもあり、なんだかドキドキする。

やがてトゥームストーン公園に入る。屹立した岩山が彼方まで見渡せる。森林限界を超えているので、高い樹木がほとんどない。

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地面全体は絨毯のように広がるツンドラ地帯で、豪快な風景だ。「北米のパタゴニア」と呼ばれているだけはある。ここはキャンプしながらハイキングを楽しむ人が多いため、ドーソンからここだけを目的に来て引き返す人が多い。

蛇行しながら伸びる一本道をひたすら進む。大体80キロ制限だが、状態がひどいところでは、とてもそんなスピードで走れない個所も多い。

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車内禁煙のため、用意していた北欧製の噛みタバコを口に放り込む。眠気覚ましと、長い運転のための刺激だ。

驚いたことに、長旅のサイクリスト数人とすれ違う。片道だけ通って飛行機で戻るのだろうが、道が悪いのでイヌビックまで一週間はかかるだろう。

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↑デンプスター・ハイウェイ用に借りたSUV。これで北極圏を一人で往復した

午後三時頃、中間地点のイーグル・プレインに着いた。まさに荒野の中のオアシスで、簡易の飛行場まである。この辺りは軽飛行機の天下で、飛行機でどこへでも行ってしまう。

先に、モーテルにあるガソリン・スタンドで給油を済ませる。まだ半分以上残っているが、ここでは万が一のことを考えて満タンにしておく。意外なことにセルフ・スタンドではなくて、若い男が出てきて給油してくれた。

「先週までは道路も寸断されていて、大変だったみたいだね」と声を掛けると「ああ、ここも孤立しちゃって、大変だったよ」と苦笑いした。

かなりボロいモーテルを想像していたのだが、チェックインしてみると、意外にちゃんとしたモーテルだった。レストランも併設されている。値段もそう高くなく、8000円ほどだ。WIーFIは5ドルでロビーのみ通じるが、ここまでくるとWI-FIがあることだけでも感謝しなければならない。

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デンプスター・ハイウェイの中継地イーグル・プレイン

客は中国人が多かったが、日本人ツアー客も来ていたのは意外だった。ツアーで来たら、デンプスターの途中にあるトレイルをハイキングしたりできるので楽しいだろう。

つづく

 

コメント

  • 北畠佑子

    はじめまして。カナダもここまで来ると高い木がなくて凄いような景色ですね。手前の薄桃色の花が唯一の彩りだったのでしょうか。真冬なら雪に覆われて別の美しさがありそうです。

    • 上原善広

      コメントありがとうございます。写真としては、雪におおわれている冬か、秋(といっても8月下旬の一週間ほど)が良いのですが、タイミングが合わずうまく撮れませんでしたね。天気も雨が多いですしね。念のためにデンプスターは往復したのですが(8月下旬)、それでもまだ秋の入り口でした。荒涼とした風景で、北極圏の短い夏という感じでしたよ。

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