トロント② メジャーリーグと日本酒

カナダ - 150年 街道をゆく

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トロント② メジャーリーグと日本酒

夏のトロントのもう一つの名物といえば、やはりメージャーリーグのトロント・ブルージェイズだろう。

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カナダ唯一のメジャー球団となってしまったこともあり、いつも人気がある。

本来、カナダでもっとも人気のあるスポーツはアイス・ホッケーだが、これはチケットがなかなか取れないほど人気だという。その点、メジャーリーグは球場自体が大きいこともあり、チケットが取れないということはあまりない。外野でもよければ、当日いっても座れるので私は気に入っている。

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出かけたのはフィラデルフィア・フィリーズとのトロント・ホーム2連戦だ。

現在、トロント・ブルージェイズはアメリカンリーグ東部地区の3位に位置している。球場の盛り上がりもなかなかのものだ。陽気なアメリカ人に比べて、カナダ人はどちらかというと控えめだが、それでもこうしたゲーム観戦のときの盛り上がりかたは日本の客よりもうまい。日本のプロ野球の盛り上げ方も、だいぶんメジャー風になったというが、基礎が違うとしかいいようがない盛り上がりである。

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例えば攻守交替の合間には、選ばれた観客同士で「ネクタイをどれだけ早く締められるか」というゲームがあり、勝者にはスポンサーから景品がもらえる。今日のドネイション(寄付金)の金額を当てて、もっとも近かった人に景品をあげたり。クイズもあるし、とにかく盛りだくさんだ。こういうのは日本も、もっと積極的に真似すればいいのにと思う。

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↑球場から見えるCNタワー。「エッジ・ウォーク」というアトラクションに参加している観光客までも見える。

それはともかく、第1戦はナイターで、午後7時7分に始まったが、まだ外は明るい。この時期は午後9時頃まで明るいから、ナイターといってもデイ・ゲームのようである。7時7分開始というのも、中途半端で面白い。例えば翌日は昼の12時37分開始だ。こういうところにも、遊び心がある。しかし、ちゃんとキッチリ7分に始まるのがすごい。

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ブルージェイズの先発投手はディッキーという長身の選手だったが、初っ端からフィリーズの連打を受けて、早くも負け試合が濃厚となってしまった。打席はフィリーズの投手ジェラド・アイクホフの前に無言だ。そのまま0点がつづき、ついに0―7で大敗してしまった。

負けるとわかったら、観客の盛り下がり方も半端ではない。メジャーにはまったく縁がない私にも、その落胆ぶりが直に伝わってくる。チームと同じく、観客の振れ幅も極端だ。もっともこれは日本のプロ野球、特に阪神のファンに通じるところがあるかもしれない。ともかく私も、翌日のホーム2戦目に賭けた。

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翌日は平日だったが、ディ・ゲームだ。どうもこれからサマーシーズンが始まるので、水難事故防止デーにあたっているらしく、多数の小学校が招待されることもあり、ディ・ゲームとなったようだ。外野席もほぼ満席で、昨日のナイターより観客が多いくらいだ。消防署員も多数参加して、トロント消防署長も出席したセレモリーが終わるとゲーム開始だ。

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一番打者のバティスタ

メジャーの勝敗はけっこう極端ではないか、と思って2連戦のチケットをとったのだが、この予想は幸いにも当たってくれた。前日のゲームではまったく無言だったブルージェイズの打線は初回からホームラン、2回目以降も次々にヒットを放つ。投手のマーカス・ストロマンも、フィリーズの追撃を許さないパーフェクト・ピッチングが7回まで続く。結局、この日は11-3で大勝した。招待された子供たちもみな大喜びしている。

観戦していてちょっと驚いたのは、斜め前の座席の老人が、パイプをふかし始めたことだった。煙草は吸わないが、私もパイプはやるので気持ちはわかるが、手で器用に隠しながらぷかぷかとやりだした。私の隣に座っていた若者も気が付いて、私に目配せして「アンビリーバブル…」と苦笑いしていた。カナダは世界的に見ても禁煙大国だから、これには驚いたが、相手が老人なのと、器用にパイプを吸ったり消したりしていることもあり、結局、誰も注意しなかった。これが負け試合だったら、老人も注意されていたかもしれない。

 

そのままホテルに戻るのももったいなかったので、タクシーに乗ってディスティラリー地区に寄った。ダウタウンの東にある地区で、1832年に建てられたウィスキー蒸留施設をそのままリフォームして、レンガ造りのお洒落な雑貨屋やレストラン街になっている。映画の撮影にもよく使われていて、最近だとSF映画の舞台にもなっている。

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↑ディスティラリー地区。200年前の石臼も保存されている。

ここに寄ったのは、トロントで唯一の日本酒の製造工場があるからだ。「泉(いずみ)酒」という工場で、そのまま同じ敷地内にバーも開いている。日本にいたカナダ人オーナーが、カナダでも日本酒を造れないかと思い、5年ほど前に始めたそうだ。オーナーはカナダ人だが、酒を造る杜氏(とうじ)は日本人だ。

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バーでは3種の酒のテイスティングもしていて、これは3つで15ドル。一杯ひっかけるにはちょうど良い。バーにいたのは林さんという日本人女性で、「客はカナダ人とか、外国人の方が多いですね」と言う。

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「日本人はあまり来ないですか」

「たまに見ますね。ここは観光地なので、日本人はよく見ますけど、バーで呑んだりまではしないかな」

「確かにこのディティラリー地区と日本酒というのは、ちょっと変わった組み合わせですよね。看板も目立ってましたよ」

バーは最初、私だけだったのだが、やがて白人の観光客たちで満席となった。テイスティングだけでなく、日本酒をつかったカクテル、酒粕のドレッシング、アイスクリームなども置いてあり、メニューは豊富だ。

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↑手作りの酒粕のアイスクリーム。これはあずき味。

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↑酒粕のドレッシング、カクテルもある。

醸造所から出てきたのは島村さんという日本人だった。

「日本でも杜氏をしていたんですか」

「いえいえ、ぜんぜん未経験です。こちらに来てから覚えました。気候とか、そのときによって味が変わるので難しいですね」

「でも楽しいですか」

「ええ、とても楽しいですよ。さいわいお客さんも沢山きてくれますしね」

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「醸造所の案内もするんですか」

「いえ、中までは入れませんけど、どうやって作っているのかのガイドを毎日やってます。工場はガラス張りになっているので、仕込み時期には作業風景も団体ツアーで見に来たり。水はオンタリオの湧き水をつかって、米だけを使う純米酒です。濾過もしない生酒なので、日本通のカナダ人もよく来ますよ」

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↑醸造所もガラス張りでいつでも見学できる。右が島村さん。

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「日本酒はフランスでも、星付きのレストランで取り入られたりして話題になっていますけど、カナダではあまり見ませんね」

「いえ、けっこう最近はけっこう、いろんなレストランに入れてますよ。日本食のイザカヤはもちろんですけど、普通のレストランでも増えてきてます」

どうも私が安いダイナーばかり行っているので見かけないだけで、おそらくそれなりの高級店に行けばあるのだろう。

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左から林さんと島村さん

 

つづく

 

コメント

  • NISHIMURA 虎O

    はじめまして。関西在住ではありませんが、阪神が地元の球場に来る時は必ず観戦するトラキチです。子どもを連れて試合の始まるかなり前からスタンドに入って、選手の練習ぶりや試合前のファンサービスを楽しむのですが、日本でももっと大人も子どもも「球場に来てよかった!」と思えるような内容にしてほしいですね。まあ、阪神に勝ってもらうのがいちばんですが^-^

    • 上原善広

      阪神は、ファンの方が盛り上げてくれていますね。プロ野球はここのところご無沙汰しているので、日本に帰ったらまた見に行きたいと思いました。特に阪神戦ですね^^

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