01. 出発駅で

VIA鉄道でカナダ横断4500キロの旅01. 出発駅で

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単に目的地に着くだけなら飛行機が早い。しかし、長距離鉄道の旅にはまた別の楽しみが待っている。北米大陸で最も長い距離を走る大陸横断列車「カナディアン号」。その旅は、カナダという国のとてつもない大きさと、私たちの知らなかった魅力を存分に体感させてくれる。

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カナダ第3の都市、西海岸のバンクーバーからカナダ最大の都市、東のトロントへ。北米大陸の西と東を結ぶ大陸横断鉄道「VIA 鉄道」を走るのが、今回の主役である長距離特急「カナディアン号」だ。総距離は4466キロ、日本の北海道北端から鹿児島南端までよりも、さらに1000キロ以上も長い。何しろ、カナダは面積が日本の26倍もある広大な国。「カナディアン号」が走る5つの州のすべてが日本一国の面積より広い。一番小さなマニトバ州で日本の1.7倍、オンタリオ州は約3倍もある。

「カナディアン号」の走る先には、カナディアン・ロッキーの険しく美しい山並み、地平線がどこまでも続く大平原、そして森と湖が延々と続くオンタリオ州の風景が待っている。列車の中で4泊5日、82時間を過ごす。狭い日本ではとても経験できないようなこの長大な旅は、一体私たちにどんなことを感じさせてくれるのだろうか。わくわくするような期待を胸に、私はカナダへと旅立った。

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旅の出発点は、カナダ西海岸の玄関口として知られるバンクーバー。ここから一路、東へと向かう。カナディアン号が発着する「パシフィック・セントラル・ステーション」は長距離バスなども利用するターミナル駅で、1919年に完成した、どっしりした石造りの駅舎だ。市の歴史的建造物にも指定されていて、中に入ると天井が高く、古めかしい大時計が時を刻んでいる。駅に着いたのは18時を過ぎたところ、出発までにはまだ時間がある。

チェックイン・カウンターで、寝台車(寝台車ツアークラス)の切符を受け取る。ホームに面した一角に寝台車の乗客のためのラウンジがあって、乗客たちがのんびりと出発を待っている。ラウンジから出入り自由の外庭では、年老いたミュージシャンが一人で電子オルガン、エレキギター、サックスを演奏しながら、ジャズやウェスタンを歌っていた。なかなか渋い、いい声だ。彼を囲むようにテーブルと椅子が置かれていて、こちらでも飲み物を手にした乗客たちがくつろいで聞いている。夕暮れの駅には、既にそこはかとない旅情が漂い始めている。

ホームに目をやると、「カナディアン号」が待っていた。銀色に輝くステンレススチールの独特な車体。1950年代初頭に開発されたアールデコ風の丸みをおびたデザインで、窓上のところに青いラインが一本入っている。列車の全長はおよそ500メートルもある。用意が整ったのだろう。発車1時間ほど前から乗客たちが三々五々列車に乗り込み始めた。

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座席車の人たちは荷物車両にスーツケースなどを積み込むが、2人用寝台車を利用した私たちは、荷物をそのまま部屋に運び込んだ。早速、部屋の中を点検する。洗面台とトイレ付き。洗面台には飲料水の出る蛇口のほかに、手洗い用のお湯と水の蛇口がある。部屋には広い窓がついているので、椅子の上にベッドを倒すと、寝ながら窓の外の風景が眺められる。ホテル並みの快適さだ。車両の片側には人がやっと一人通れるくらいの通路があり、一両に一か所、お湯の出るシャワーを備える。各寝台車にはそれぞれ、「○○館」といった、しゃれた名前もついている。

編成はシーズンや予約状況によって変わるが、今回は18両。先頭から、機関車2両、荷物車、コーチ(座席車)2両、ラウンジカー、ダイニングカー(食堂車)、スカイラインカー(展望車)、寝台車4両、スカイライン、ダイニングカー、寝台車3両、パークカー(展望車)と並ぶ。この列車にバンクーバーから寝台車に75人、コーチ(座席車)に97人の計172人の乗客が乗り込んだ。

コメント

  • ゆり子

    想像しただけで、わくわくするような風景と、ぞくぞくするようなスケールの大きさ、景色。そして、新鮮な風の香りをかんじます。広大な土地。人々の心も広大で、メープルの葉っぱの色のように暖かいのかしら。。。

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