01. Heart of Canada

マニトバ ― Heart of Canada01. Heart of Canada

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撮影:多賀茂里生

2017年7月1日。カナダは建国から150周年という節目の日を迎えた。その記念すべき日に僕は、大阪・梅田の「梅田 蔦屋書店」で、カナダの旅をテーマにしたトークショーに登壇していた。

この「150周年」にはずいぶんと深く、また長く関わってきたと思う。そして、もともと原稿を書くことを生業(なりわい)としてきた僕がどうしてトークショーなんかやるようになったんだろうと、不思議にも思う。本当は人前でしゃべるのはあまり得意ではない。

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撮影:多賀茂里生

それはともかく、150周年を迎えたからといってカナダの旅が終わるわけではない。いや、カナダの新たな魅力を紹介する旅はここから再スタートを切るのだ。

だからこそ150回目の建国記念日=カナダ・デーから1週間後、僕は「151年目のカナダ」に出会うため関空からカナダへと旅立った。今回の目的地はマニトバ。この州は“Heart of Canada”とも呼ばれている。

canadaMAP0809-02もちろん、こう呼ばれるのはマニトバ州がカナダのちょうど真ん中に位置しているためだ。地図で見れば一目瞭然。だからカナダの「西部」と言えば、マニトバ州から西側を指す。
<p>僕が初めて訪れた州都ウィニペグは、その中心部に大西洋と太平洋をつなぐ「VIA鉄道」の駅がどっしりと構えていた。ここが大陸横断鉄道の真ん中なのだ。

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しかし、“Heart of Canada”が意味しているのは、地理的な意味での「中心」だけではないと僕は思う。

カナダというのはヨーロッパから大西洋を渡ってやってきた人たちが西へ、西へと歩みを続けていった結果、できあがった国だ。

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だから西部カナダの玄関口であるマニトバには、カナダが大陸横断国家へと飛躍するに当たってのさまざまな歴史や人々の思いがぎっしりと詰まっている。

もちろん、そこにあるのは明るい歴史ばかりではない。国家が成長していくに当たっての「悲しい歴史」や「矛盾」もまた、“Heart of Canada”には詰まっている。

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だからこそ“Heart of Canada”の中心であるウィニペグには、「国立カナダ人権博物館」なる不思議な形をした、非常に珍しい博物館があったりする。人権という人類にとっての難問題に真正面から向き合った、世界的にも類を見ない博物館だ。

“Heart of Canada”という土地ならではの博物館だと思うし、まったく衒(てら)いもなく、明るく、大真面目に理想を追い求めるカナダ人らしい施設だとも思う。

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僕はかねてから、「悲しい歴史」や「矛盾」を知ることも旅の目的だと思っている。

悲しいことも知ることから始まる。知った上でやっぱりカナダは楽しい、おいしい、そしてまたカナダに来たいと思うー。そんな旅をしたいし、してほしいと思う。

だからウィニペグに着いた僕は早速、マーケットのフードコートでクラフトビールの飲み比べセットを注文した。旅は楽しいからこそ旅なのだ、まずはその土地の食を満喫しなくては。

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飲み比べセットの分厚い板の台には、ちょうど持ちやすい「出っ張り」があった。

でもこれは台の持ち手ではない。板がマニトバ州の形をしていて、出っ張りの上はホッキョクグマやシロイルカのベルーガが暮らすハドソン湾に面している。そして出っ張りの付け根には「ヨーク・ファクトリー」という、かつての毛皮交易の拠点がある。一般の人はそう簡単に行けないこの“秘境”もまた、今回の旅の目的地だ。

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テーブルにはホッキョクイワナやバッファローの料理が並んでいる。ウィニペグでは、かつてバッファローを追って暮らしていた「メイティ」という、白人と先住民の混血の人たちの悲しい歴史にも触れることになる。

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夜だというのにまだ明るい。レストランのテラスに場所を移してワイングラスを傾ける僕の目の前に、列車が通りかかった。カナダ名物、いつまでもいつまでも、コンテナが「横移動」を続ける貨物列車。大陸を横断するなら、まだここはやっと「真ん中」に過ぎない。

カナダの西と東が交わる場所、マニトバ。 “Heart of Canada”に触れる「151年目のカナダ」の旅がこれから始まるのだ。

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