バンクーバーが幸せな理由

06. 地産地消の先駆者

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「結婚や卒業、90歳の誕生日も1歳の誕生日も、地元の人はお祝いというと、みんなこの店を使ってくれるんです」

バンクーバーにあるジョン・ビショップさんのお店「Bishop's」はオープン以来、30年以上にわたって地元で愛され続けるレストランだ。

同時にここは、カナダの現首相の父、トルドー元首相やハリウッドスターも訪れる有名店なのだ。

ビショップさんはバンクーバーで初めて地産地消を実践した先駆者であり、誰もが知る有名シェフだ。

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料理や食材のこととなると熱く熱く語るけれど、その語り口は実に楽しげで、聞く者を明るくさせてくれる。

バンクーバーの魅力的な人たちとの出会いを重ねるうち、僕はあることに気づかされていた。それは、実にみんな、いい具合に肩の力が抜けていて、それでいて真剣、かつ大真面目、ということだ。

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ビショップさんもそう。バンクーバーの食材を使った料理に熱い情熱を傾け、「バンクーバーが自分を変えてくれた」とは言うものの、別にここを目指してやって来たわけではないのだそうだ。

イギリス生まれで、料理学校を出た後はアイルランドのパブ&レストランで働いた。カナダに来たきっかけは友人に誘われたから。

結局、友達の行き先がトロントからバンクーバーに変わり、誘われた立場のビショップさんもバンクーバーにやってくることになった。

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そうして暮らし始めたバンクーバーで、イタリアレストランの求人を目にすることになる。ビショップさんは見事、採用されてシェフになった。ただし、イタリア料理など作ったことがないにもかかわらず、だ。

2週間の引き継ぎの後、完璧にこなせるようになるまでの半年間は「地獄だった」とビショップさん。結局、イタリアレストランでの仕事は10年に及んだ。

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1985年に、独立して「Bishop's」をオープンさせる際、友人に紹介された農家のご夫婦の言葉が大きな転機となる。

「何がレストランで必要か言ってください、必要なものを育てますよ」。

当時のバンクーバーの一流店、例えばフレンチレストランなら、一流の食材を本場から輸入し、季節にかかわらず同じメニューを出していたそうだ。バンクーバーには海があり、山があり、豊かな自然に育まれた四季折々のすばらしい食材があるにも関わらず。

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地産地消の意義とは何だろうか。

「食材が新鮮だし、より熟れた状態で手に入る。何より重要なのは、地産地消が地元の農家を支え、みんなが地元の食材を誇りに感じられること」とビショップさんは言う。

僕が「Bishop's」で味わったカキやハリバット(おひょう)など、バンクーバーのシーフードを使った料理は、どれも奇をてらったところがなくシンプルで、それでいてこの上なく美味しかった。あくまで主役は食材本来の味、バンクーバーこそ主役と言わんばかりだった。

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そして、料理に合わせるワインもみんな地元ブリティッシュ・コロンビア(BC)州産だ。

「Bishop's」のオープン当時、メニューには地元産ワインは1本しかなかったけれど、今はワインの売り上げの60%をBC州産が占める。地産地消は地元を「育てる」のだ。

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「みんなバンクーバーの食材、そしてバンクーバーに誇りを持っている。いいものを共有しているという思いがある。だからみんな社交的なのだろうと思う」

ビショップさんはそれこそ本当に社交的に、店の各テーブルを回り、楽しそうにお客さんと会話を交わしていた。その様子を見ていて僕には分かったことが1つある。

ビショップさんもお客さんも、みんなバンクーバーが好きで好きでたまらないのだ。

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ビショップス(Bishop's)
Farm to Table、つまり地産地消の草分け的存在であるジョン・ビショップさんがオーナーを務める「Bishop's」では、地元の旬の食材を使い、素材にこだわり抜いた上質のパシフィック・ノースウエスト料理を味わうことができます。1985年のオープン以来、バンクーバーのトップレストランのひとつとして人気を誇っています。

営業時間 火曜日~日曜日5:30~23:00
               月曜日休業
2183 West 4th Avenue
TEL 604-738-2025
http://bishopsonline.com

文・写真:平間俊行

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