忘れられないモントリオール

過酷すぎる取材

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モントリオールと言えば、まずはプティン(poutine)だ。

プティンとはなんぞや。フライドポテトの上にチェダーチーズの「カード」なるものをどっさりトッピングし、肉汁からつくるグレイビーソースをかけ回した料理だ。

poutineとはケベックの俗語で「ぐちゃぐちゃ」という意味。1950年代後半、モントリオール近郊のレストランでその原型が生まれたとも言われ、およそ60年の歳月を経て、いまやカナダを代表するB級グルメとなっている。

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そして僕はかつて、カナダ滞在わずか2日という弾丸取材の際、初日に3つ、2日目に1つのプティンを食べたことがある。

なんだそのぐらい、と思うかもしれない。しかし、実はこのプティン以外にふつうの食事の取材もちゃんとしている。

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つまり、2日間で朝昼晩の「3食」以外に4つのプティンを食べたことになる。しかもこの「3食」と4つのプティンに加え、やはりモントリオール名物のスモークミートまで食べている。われながらよく頑張ったものだと思う。

この写真がスモークミート。多くのガイドブックに「シュワルツ」というお店が紹介されているけれど、モントリオールではほかにもいろいろな店でスモークミートを味わうことができる。

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とにかく原稿は日本に帰ってから、モントリオールでは食べて食べて食べまくるという過酷な取材だった。ただし、過酷ではあったけれど、プティンは間違いなくおいしかった。だから僕はモントリオールと聞くと、つい山盛りのプティンを思い出してしまうのだ。

そんな経験を持つ僕から、少しプティンについて解説しておきたい。まずは大事な要素であるチェダーチーズの「カード」。

チーズカードというのはミルクからつくられる凝固物で、チーズとは別物と言っていいだろう。不揃いなかたまりで、けっこうな塩気があり、口にいれるとキシキシという音がする。

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カナダでは袋入りで普通に売られているけれど、日本では手に入りにくいかもしれない。だから日本でプティンをつくろうとすればチェダーチーズそのものを使うことになってしまう。

しかし、プティンを「これでもか」というぐらい食べた僕にすれば、やはりチーズカードでなければプティンとは言えないと断言できる。

チーズカードの持つ独特の食感と絶妙な塩加減がプティンには不可欠なのだ。

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それからもう1つ、プティンの大事な要素として挙げられるのが自由自在なトッピングだ。

サワークリームにアボカドソースだったり、ゴロゴロたくさんのソーセージだったり。とにかくフライドポテトとチーズカードにグレイビーソースという基本さえ守っていれば、あとは無限にメニューが生まれてくるのがプティンという食べ物なのだ。

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ケベックで生まれたプティンは、今やカナダ全土、どこででも食べられる。カナダ人の国民食みたいなものだ。

でも、せっかくカナダで本物のプティンを食べるのなら、ぜひ発祥の地であるモントリオールで味わってほしいと思う。

僕はとにかく原稿を書くために食べまくったから、アルコールといっしょに楽しむという感じではなかった。でも、本来のプティンはお酒を飲みながらつまむもよし、飲んだあとの「シメ」で食べるものよし、という食べ物なのだ。

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僕はこの原稿を書くにあたり、あれこれ考えてみた結果、プティンにあう最高のアルコールはハイボールじゃないか、という考えにたどり着いた。ビールだとすぐにお腹がいっぱいになってしまうのが懸念材料だ。

そんなふうに考えていると、無性に本場のプティンが食べたくなってきた。ただし、適度な量のプティンを、ゆっくりと、だ。

夜のモントリオールでプティンを前に、ハイボールのグラスをカラカラさせたい。そしてお代わりも頼みたい。プティンじゃない、ハイボールのお代わりだ。おいしいプティンは1度に1つでいいのだ。

文・写真:平間俊行

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