小さな博物館

忘れられないモントリオール

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その昔、この地を最初に訪れた探検家の名前をとった「ジャック・カルティエ広場」があるモントリオールの旧市街地。

そのエリアにあって石畳の通りに面して立つのが、メープルシロップの専門店「カナディアン・メープルディライツ」だ。

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メープルシロップは空港などカナダ中のいろいろなところで買えるけれど、せっかくメープルシロップの本場であるモントリオール、そしてケベック州を訪れたのなら、こうした専門店にもぜひ立ち寄ってほしいと思う。

なにしろ、メープルシロップを生み出す砂糖カエデの木は、ケベック州と隣のオンタリオ州などごく限られた地域にしかない。

だから世界のメープルシロップの90%がカナダで生産され、そのうちの85%をケベック産が占めている。その本場の専門店が「メープルディライツ」なのだ。

カナダ土産と聞いて誰もが思い浮かべるのは、メープルクッキーや、カエデの形の小さな瓶に入ったメープルシロップだろう。しかし「メープルディライツ」の店内には、日本人の想像を超えるさまざまなメープル関連商品が並んでいる。

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シロップやクッキーはもちろん、粉状あるいは粒状になったメープルシュガーや、パンなどに塗るメープルバター、変わったところではメープルシロップでつくった「綿菓子」なんてものもあった。

店頭ではクッキーやマフィン、ジェラートなどが売られていて、メープルシロップをかけたりして本場の上品な甘さを味わうことができる。

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木箱に入った各種詰め合わせセットみたいなものもあって、なかなか高級そうな感じだ。値段はともかく、大きさ的にちょっとスーツケースには入らない気がするけれど。

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そしてよく見ると店内には、シャワージェルやマッサージオイルといった美容関連の商品まであった。

メープルシロップはほんのり甘い砂糖カエデの樹液を煮詰めているだけなので、もともと混ざりものが全くない。だから食品だけでなく、こうしたスキンケア商品としても安心安全なのだろうと思う。

さて、モントリオールの「メープルディライツ」では、地下にメープルシロップの歴史を学べる資料などが展示されている。言わば「小さな博物館」だ。

かつて砂糖カエデの樹液は、幹に小さな穴をあけて管(くだ)を差し込み、流れ出てきたところを真下に取り付けたバケツにためる、という方法で採取していた。

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「小さな博物館」に展示されていた写真では、例えばソリに乗せた樽を馬に引かせ、バケツにたまった樹液を集めるという昔のシロップづくりの場面が紹介されていた。

隣には、たぶん待ちきれなかったのだろうと思う、バケツから直接、樹液を飲んでいる人の写真もあった。

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1階の店舗では、「メープル・ウォーター」として樹液そのものを販売していた。今も昔も人間のやることはあまり変わりがないらしい。

温めたメープルシロップを平らにならした雪の上にたらして固め、棒などで巻き取って飴のようにして食べるのがメープル・タフィ。

この白黒写真からは、家族みんなでメープル・タフィを楽しんでいる様子が分かる。お父さん、食べ過ぎだけど。

今はどこにでも「甘さ」は溢れていて、むしろ食べすぎに注意するぐらいだけれど、昔は「甘さ」とは本当に貴重で、みんなを幸せにするものだったと改めて感じさせられる。

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だからケベックの人たちは、春先に樹液が収穫され、その年で初めてのメープルシロップがつくられるころ、砂糖カエデの森の中の小屋「シュガーシャック(砂糖小屋)」に集まってパーティーを開いた。

最後の写真は、この「シュガーリングオフ・パーティー」の様子だろう。大人も子供も森の中の雪に温めたメープルシロップをたらし、競うようにメープルタフィを食べている。

ケベック州の人たちにとって、砂糖カエデがもたらしてくれる「甘さ」がいかに大切なものだったかを「小さな博物館」で感じることも、モントリオールの楽しみ方の1つだと思う。

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