©Junji Takasago

ホッキョクグマの母と仔

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ホッキョクグマは、立ち上がったときにオスで2.5メートル、体重は600キロにも達する地上最大の肉食獣だ。大きくてとても狂暴であるにもかかわらず、白くてふわふわで、しかもよく見るととても優しい顔をしているので、撮影している時、近くに寄って行って撫でてあげたくなってしまった。特に仔グマたちは、遊びが大好きで、お母さんの背中によじ登ったり、木に登っては滑って落ちてしまったり、また仔グマ同士でじゃれ合って、雪の上をコロコロと転がりながら遊んでいたりと、とにかくとても愛らしく、まるで縫いぐるみが動いているような、最強の可愛さだった。

0102030405僕が今回ホッキョクグマを撮影するために向かったのは、マニトバ州のワプースクという国立公園。雪に被われ、雪上車でないと走れないような大自然の中だ。ホッキョクグマのお母さんが、雪の中の巣穴で12月ごろ子供を産み、2~3月に巣穴から出てくるのだが、その頃を見計らって撮影に行ったのだ。絶滅危惧種に指定されているホッキョクグマの60%はカナダに生息していると言われ、特にこのワプースクは生息域の南限に当たり地球温暖化の影響を大きく受けているとのこと。出合えた母子は多くはなかったが、その貴重な姿を垣間見ることができた。

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温暖化とはいえ、真冬のワプースクはとても寒く、風の吹いたときなどは、体感気温はマイナス50度ほどにもなった。しかしそんな中でもホッキョクグマ母子は、まるで快適そうに雪に寝ころび、転がり、雪に包まれて、母子で楽しそうに過ごしていた。彼らはこのあとゆっくり数十キロ先の海に向かい、陸上で何か月も絶食を続けてきた母グマが、やっと凍った海でアザラシを捕る機会を得るのだ。

もっとも狂暴な動物の一つだと言われるホッキョクグマ。中でも特に子育て中のメスは危ないと言われるが、その眼差しは人間の母親にも負けないほどの、とても愛情深いものだった。ほかの生き物もほとんど見られない、一面雪しかない中での母と仔だけのこのひと時は、かれらにとって、充実した、誰にも邪魔されない、そしてかけがえのない時間なのだ。あの母グマの優しい目つきが脳裏に焼き付いて離れない。

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〇高砂淳二写真集&写真展「PLANET of WATER」のご案内「PLANET of WATER」表紙
ご覧いただいたカナダのホッキョクグマをはじめ、セントローレンス湾で撮影したタテゴトアザラシ、バンフで撮影したアイスバブルなどの氷の世界、冬のナイアガラなど、地球を巡る水を追ってまとめた高砂淳二写真集「PLANET of WATER」(日経ナショナルジオグラフィック社・2400円+税)が、6月3日に発売されます。
出版に合わせ、高砂淳二写真展「PLANET of WATER」が、以下の通り開催されます。


高砂淳二写真展「PLANET of WATER」

場所:ニコンThe Gallery(新宿+大阪)
*東京 〒163-1528東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
*大阪 〒530-0001大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階

期日:6月4日~24日(新宿)、7月18日~31日(大阪)*日曜休館
展示内容:大中合わせて40点ほどの作品展示と、大型モニターによる映像の常時上映
*6/8, 15, 22 14:00~ トークイベントを予定(東京)
*7/20, 27 14:00~ トークイベントを予定(大阪)
問い合わせ:03-3344-0565
https://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/201706/20190604.html


〇「高砂淳二プロフィール」

たかさご じゅんじ。写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
世界中の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書は、最新作の「PLANET of WATER」をはじめ、「night rainbow ~祝福の虹」「Dear Earth」「ASTRA」「虹の星」「LIGHT on LIFE」ほか多数。
ザルツブルク・ミュージアム、東京ミッドタウンフジフイルムスクエア、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店、コニカミノルタプラザなど写真展多数開催。
自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。
みやぎ絆大使。海の環境NPO法人“OWS”理事。

コメント

  • 荒巻 圭士

    丹頂鶴に魅せられて撮り続けていますが、撮影時に出会う オオワシ・オジロワシ・キタキツネ・エゾシカなども撮ってよろこんでいます。ヒグマも興味あるけど出会った事も撮った事もありませが‥カナダには25年ほど前にバンフからジャスパーをレンタカーで往復し、素晴らしい景色と出会えた動物たちを撮った楽しい思い出があり、もう一度行きたい。ホッキョクグマの親子、何とか自分でも撮ってみたい!
    高砂さんの新宿での写真展に感動をもらいに伺います。

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