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ホッキョクグマの首都で一生ものの体験を

マニトバ州ウィニペグから飛行機に乗って約2時間、北極海に面したハドソン湾の北西部にあるチャーチル。人口がたった約800人の小さな町だが、ここは「ポーラーベア・キャピタル(ホッキョクグマの首都)」と呼ばれ、ホッキョクグマ(シロクマ)と出会える町として世界的に有名だ。毎年10月下旬から11月にかけて、ハドソン湾が氷結するため、この少ない期間にホッキョクグマたちはエサとなるアザラシを求めて終結する。そして、世界中のホッキョクグマを愛する旅人たちも、この愛らしい野生動物を観察するためにチャーチルを訪れるのだ。

それではチャーチルにやってきたら、実際にどうやってホッキョクグマと出会えるのか。そこで活躍するのがツンドラ・バギー(tundra buggy)と呼ばれる巨大なタイヤを装着した車両だ。車輪は直径が1.7mもあり、窓の位置も高いので、クマが背伸びしても窓に届かないので、近い距離で安全に観察することができる。ツンドラ・バギーは、1979年に、チャーチル周辺でホッキョクグマを観察したり、研究したり、撮影したりするためにチャーチルでフロンティアーズ・ノース・アドベンチャーズ社によって開発された。

この素晴らしいホッキョクグマ観察用のツンドラ・バギーの車内はとっても温かいので、ホッキョクグマが出るまでゆっくり待つことができる。

しばらくすると、遠くの雪景色の中に白いホッキョクグマが見えてくる。のんびりリラックスしていた気分から、急に胸の鼓動が高鳴る瞬間だ。ツンドラ・バギー後部には観察用にデッキがあり、思わず外の寒さを忘れて外に出る。そして少しずつホッキョクグマに近づいてくる。想像もしたことがない距離感で野生のホッキョクグマを見るため、最初は少し恐怖心を感じるかもしれない。でもまるで私たちに何かを語りかけるように見つめてくる姿を見た時、極寒の中で自分自身の心が熱くなっていること、そして世界中の旅人がこの地を訪れる理由に気づく。この体験は一生ものだ。

ちなみにこのポーラーベア・キャピタル、チャーチルは、かつては毛皮交易の拠点だった。1929年、ウィニペグからの鉄路が引かれると、内陸の穀物を輸出する港として利用できるようになる。1942年には町の近くに米軍の基地がおかれ、戦後は1960年代半ばまで米加両軍合同の訓練施設として使われた。1984年まで、気象観測ロケットの打ち上げ基地もあった。そういった歴史を経て、現在は、ホッキョクグマ、ベルーガ、バードウォッチング、オーロラなどの観光がチャーチルの最大の産業となっているのだ。

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