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絶景 絶景

風と波に揺られながら、夏のオーロラに包まれる

すごいオーロラが出る(こともある)

ノースウェスト準州

カナダには「オーロラ予報」なるものがあり、ロッジでは毎晩のオーロラ出現の確率を10段階で表していた。あくまでも出現の確率なので、「8/10」でもうっすらとしたオーロラだったり、逆に「3/10」なのに活発に動くオーロラが出たりする。ゲストの一番の目的がオーロラ観賞だとわかっているスタッフたちは、決して期待をさせることは言わないのだった。せいぜい、「この前は昼間に雨降ったけど、夜は凄いオーロラが出たよ」と話してくれるくらいだ。

真冬であれば、凍ったブラッチフォード湖のどこからでもオーロラ観賞が可能だが、満々と水をたたえる夏はそうもいかない。ゴツゴツとした岩場を歩き回りながら、まずは撮影に適した場所を探した。

ちょうど日没の時間になり、雲の下から真っ赤な夕日が顔を出して、ゆっくりと地平線の向こうに落ちていく。

8月下旬といっても昼間の気温は14℃くらいで、夜には5℃前後にまで下がる。冬ほどの寒さではないが、それでも冷気が身体を包んでくる。空は雲に覆われていて星は見えなかった。

どうして夏に来たかったのか?
それは湖面に映るオーロラを見たかったからだ。銀世界の夜空に現れるオーロラも壮大だったが、湖にユラユラと動く光のカーテンはどんなだろう?

きっと凄いんだろうな。幻想的な写真が撮れちゃうんだろうな。撮れちゃったらどうしよう。ウフフ。

「すごいオーロラが出る(こともある)」という言葉を信じて、ただ信じて、ひたすら願って・・・。

そして初日の夜は終わったのだった。

朝3時まで粘っても、空を覆う雲がうっすらと色づくのが見えただけだった。

翌朝、朝食を食べに降りていくと、皆が気の毒そうに声を掛けてくれる。「まだまだチャンスはあるさ」。皆とても優しい。

「ほら、出るときはこんなのが出るんだぜ」とボランティアの一人が写真を見せてくれた。それはロッジのゲストが撮影した写真で、湖畔の岩の上から、満天の夜空に現れたオーロラを見る人が写っていた。

あぁ、どうもありがとう。素敵だね・・・。参考にするよ・・・。

「ブラッチフォードレイク・ロッジ」を訪れる人は皆、オーロラを見たいと思っている。それも飛びきりのオーロラを。

そしてここで働くスタッフとボランティアは皆、ゲストに最高の思い出を持って帰ってほしいと願っている。

それは間違いない。本当に。

文・写真:多賀茂里生

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