08. ティム・ホートンズ編(3) ティムズはいつもハッピーエンド

君はまだ本当のカナダを知らない08. ティム・ホートンズ編(3) ティムズはいつもハッピーエンド

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ティム・ホートンズの人気の秘密はカナダ全土、いたるところにあって、安くて気軽にコーヒーやドーナツを楽しめるところにあると思う。

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しかし、1986年2月に始まった冬のキャンペーン「Roll Up The Rim To Win」もまた、ティム・ホートンズの人気を支える大きな要素だ。

およそ50年前に始まった時の賞品はひと口サイズの小さなドーナツ「ティムビッツ」だったらしいけど、今では運次第で高級車やテレビが貰えるんだから、盛り上がらないわけがない。

「くじ」の仕組みは、日本ではあまり馴染みのないもの。このページのトップの写真を見てほしい。コーヒーの紙コップの縁(Rim)をめくり上げる(Roll Up)と、そこに当たりか外れかが書いてある。

それにしても、どうしてこんなに面倒な方法にしたんだろうか。コインで簡単に削るスクラッチにするとか、方法は他にいくらでもありそうなもんじゃないか。

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それなのに、爪で一生懸命に「Rim」を「Roll Up」しなければならない。いくらなんでも面倒すぎやしないだろうか。

実際にやってみたけれど、「Rim」は結構固い。しかもこの矢印が指している部分をめくればいいということを知らず、やたらめったら、いろんなところをめくってしまったため、爪が割れるかと思った。

そうして苦労した挙句、小さな文字が書いてあって、「なになに?」とよく見てみると、“please play again”なんて書かれている。こら、馬鹿にしてんのか、と言いたくもなる。

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実際、カナダ国民も、かつてはかなりイラッとしたらしい。くじの商品がグレードアップした2007年には、実際に爪が割れてしまったとか、歯で「Rim」をめくろうとしたら紙コップに塗られたワックスが歯に詰まってしまったとか、「Roll Up The rim To win」への苦情が殺到したんだそうだ。

その際には、国営テレビCBCが「Real Canadian problem」、つまり「カナダ国民を本当にイラッとさせる問題」と報じるぐらい社会問題化したらしい。

こんな事態になれば、日本なら記者会見を開いて責任者がカメラの前で頭を下げそうなもんだけど、このイラッとさせる問題を解決したのは、なぜかティム・ホートンズ社ではなく、市井の発明家だった。

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彼が発明したのが、写真のようにカラフルな「リムローラー」というスグレ物だ。

紙コップの矢印が差しているところに当てて、ぐいっと押し込んでいく。左の写真ぐらいだと、まだ押し込み方が足りない。とにかくそのままぐいっと押し込まなくてはならない。

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右の写真のようにリムローラーを奥までぐっと押しこんだら、今度は上にひっぱりあげるだけ。それで「Rim」は簡単に、そしてきれいに「Roll Up」することができる。

これが実に簡単。本当は音はしないけれど、気持ちいいぐらいスポンって感じで「Roll Up」できるので、紙コップの縁を全部めくってみたくなるぐらいだ。

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爪をのばしたり爪を付けている女性には本当にお役立ちのツールだと思う。それにカナダの人たちは結構、キーホルダーにこの「リムローラー」をいっしょにぶらさげているらしい。

ある人はそれを「カナダ人のたしなみ」とまで言っておられると聞いた。冬しか使わないのに。

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それにしても、もうティム・ホートンズって「カナディアン・セラピー」だったり、「カナダ人のたしなみ」だったり、一体どれだけ大きな存在なんだろうかと思う。

こうなってくるとやはり、アイスホッケーで勝利するにはティム・ホートンズを買収してカナダ国民を意気消沈させるのが一番だ。しかもそれは、「Roll Up The Rim To Win」の季節がより効果的だ。

アイスホッケーといえば、「ティム・ホートンズ」という名前は、このチェーン店の創業者で、人気チーム「トロント・メープルリーフス」でも活躍したアイスホッケー選手、ティム・ホートン氏からきている。

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試合で大怪我を負ったホートン氏は、警察官だったロン・ジョイス氏を共同経営者に1964年、オンタリオ州のハミルトンにティム・ホートンズの1号店をオープンさせた。

事業は順調に拡大したものの、ホートン氏は1号店出店から10年後、44歳の若さで交通事故でこの世を去り、その後、未亡人とジョイス氏の確執が深まり、今は双方の創業家ともティム・ホートンズの経営には関わっていない。

ところが時を経て、両家に和解の機会が訪れた。なんと、ホートン氏の娘さんとジョイス氏の息子さんが結婚されたというんだ。

カナダ国民を幸せにし続ける「カナディアン・セラピー」、ティム・ホートンズ。やっぱりティムズはいつも、ハッピーエンドであってほしいと思う。

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