それぞれの夢を生きる@バンクーバー 後編

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屋根の開閉には20分かかる。今日は閉める必要のない晴天だ

「予選C組初戦 日本対スイス@BCプレイス・スタジアム」

BCプレイス・スタジアムは、開閉式屋根をもつ約5万4千人収容の多目的スタジアムである。陽気な地元のボランティアたちがカナダ風「おもてなし」をしてくれる。競技場へ入るセキュリティチェックも彼らの仕事なのか、「はい、OK。いってらっしゃい」と愛想よく、フレンドリーに迎えてくれる。
試合当日は朝から雲一つないお天気で、スタジアムから青い空が大きく見えていた。ピッチはワールドカップ初の人工芝で、この大会に備えて張り替えられたそうで、青々と光っていた。空と芝と白い競技場のコントラストが目に鮮やかだ。

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君が代斉唱

試合開始午後7時は、夏ならまだ昼間のような明るい。選手は大声援に包まれて入場。君が代を聞きながら、スタジアム中央に吊るされた巨大なスクリーンに映し出されるなでしこたちのキリッと引き締まった表情に、こちらまで武者震いした。
大きな声援を送る両チームのサポーター。ピッチの選手席のすぐ上に陣取り、個性豊かな出で立ちで、牛に付けるカウベルを鳴らしているのは、熱狂的なスイスのサポーター。一方の日本は、ゴール上にブルーのユニフォームで集まり、「ドン、ドン」と太鼓をならして、「日本!日本!」と、拍手とともに声援を送る。

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頑張れ、なでしこジャパン!

スタジアムのシートが元々赤色のせいもあるが、観客席は全体的に赤色が目立つ。ブルーのユニフォームを着て、日本を応援したい人たちもたくさんいたと思うが、残念ながら、さまざまな種類のある公式記念グッズのなかで日本のものはブルーのTシャツ1種類で、それも1時間前に到着したときにはすでに売り切れ。
売り場にも赤、赤、赤色が目立つ。仕方ないか…。
だが、それはカナダの赤に違いない。観客の多くも地元カナダの人たちだろう。だから、赤色の迫力に圧されるようなアウエィな空気もなければ、男子のワールドカップのように、敵と味方で角突き合わせるような緊張感もなく、ほのぼのと楽しいイベントのムードがいっぱいだ。

カナダは多民族国家で、バンクーバーは、香港や日本、東南アジアなどの出身者も多い。隣で目が合えば、すぐにうちとけて話し出す。試合観戦がなんだか心地が良い。

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宮間選手が落ちついてPKを決めた!

ところで、ご承知のように、試合は前半にMFの安藤梢がGKタールマンと接触して得たPKを宮間が落ち着いて決め、これが決勝点となり、スイスを退け、連覇に向けて良いスタートを切った。女子サッカーと言って侮れない。BCスタジアムはピッチが近いせいか、生で見る彼女たちの一生懸命さやテクニックの素晴らしさが、迫力をもって、より感動的に伝わる。

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彼女が抱えているのはポップコーン用のバケツ。おかわりしに行くところ

「カナダ人の元気」

それにしても、このスタジアムに集まってくる人たちは、試合前から試合終了まで、よく飲み、よく食べる。その全員がカナダの人とは言えないが、当たらずしも遠からず!?
試合前から通路は人でごった返しており、特にビールには試合中も含め、ずっと長い列ができていた。野球と異なり、サッカーは前半後半の間しかボールから目を離す隙はないはずだが、皆、もっと気楽に、リラックスして、ビールで乾いたのどを潤しながら、ポップコーンをほお張りつつ、大声で選手にエールもブーイングも送る。確かに観戦しながら飲むビールは最高で、エネルギーを補給しながら、応援するのは楽しい。

夜8時半、ようやく夕闇せまる頃は、試合も佳境、ますますビールも美味しくなってくるようで、ため息もより大きく、「アレー、アレー」の応援の声もよりなめらかにこだました。
そんな元気な観客たちは、やはり元気な選手が好きなのか、特に後半になると、再三、攻撃を仕掛けてくる弾丸娘、スイス10番バッハマンの動きに、ひときわ大きな歓声を上げた。

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初戦勝利。スタンドに手を振るなでしこたち

さぁ連覇に向けて、なでしこジャパンはC組1位で決勝トーナメントに挑む。日本時間24日は再びバンクーバーでオランダ戦。エドモントンで2試合勝ち進めば、日本時間の7月6日の決勝はバンクーバーとなる。もしカナダが決勝の相手となれば、BCプレイス・スタジアムが真っ赤に染まるのは必至だ。カナダ航空で成田・バンクーバーは空路9時間。ブルーのユニフォームを着て、皆で応援に行こう。
そして、試合後は、カナダの人たちとバンクーバー自慢の地ビールで、笑顔で乾杯できたらよいな。季節も最高だ。

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Tacofinoのトラックにはいつも人だかりがしている

「行列のできる店で、バンクーバー体験を」

仮にあなたが弾丸ツアーでしか応援に行く時間がなかったとしても、少しの時間?並べば、旅の思い出が倍増するに違いない、バンクーバーの美味しさを体験できる2つの「行列」をお伝えしておこう。

試合前の腹ごしらえなら、ぜひバンクーバー名物「フードトラック」へ。世界中の移民が集まるバンクーバーはグルメの都。その世界の料理が手軽に味わえるのが「フードトラック」だ。イメージとしては、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカなど各国の味を載せた移動式のトラックが、霞が関か銀座のビジネス街に毎日やってきて、ビジネスマンや観光客のおなかを満たすという感じだ。

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「Vancouver food trucks(http://streetfoodapp.com/vancouver)」というサイトまであり、「只今、10店舗営業中!」という表示とともに、通りに店を出している店名とその場所が地図で示されるほど、バンクーバーの人たちの生活に溶け込んでいる。
日本のホットドッグ「JAPADOG 」は有名店だが、「Tacofino」は「もっとローカルっぽいタコスの店もあるよ」という意見があったので並んでみた。「昼どきは15分から20分待つのは当たり前」だが、魚やチキンなどのアツアツのフライとたっぷりの野菜をトルティーヤにはさんで出してくれる。ソースは中華風とメキシコ風が好みでかけられるようになっているが、何もかけなくても、もともとの塩やバーベキューソースのような味で十分美味。

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タコスも景色も最高

「ところで、これ、どこで食べるのだろう?」
あたりを見渡して1秒で、疑問は吹き飛んだ。バンクーバーの町には、いたるところにベンチがある。この季節、ベンチでなくても、オフィスビルの共有スペースで、多くの人がランチを広げている。
「せっかくだから、景色の良いカナダ・プレイスまで行って食べない?」と誘ってくれた友人と、ビジネス街から歩いてわずか10分。そこには、間もなく出帆するアラスカ行きのディズニークルーズ船とカモメがのんびり行き交う穏やかなコールハーバーの景色が広がっていた。

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30分待つ甲斐がある

そして、試合後は、涼風の中そぞろ歩くのが心地よい。カナダ・プレイスの近所の長い行列を探そう。本場イタリアのジェラートフェスティバル他、さまざまな賞を獲得している「ベラ・ジェラテリア(Bella Gelateria)」というアイスクリーム屋だ。
http://www.bellagelateria.com/(英語)

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かなり真剣にジェラートをつけてくれる

「30分は待つと思うけれど…」と教えてくれた最後尾の地元の若いカップルの後ろについて、実際に待つこと30分。ようやく番がやってきた。種類は豊富で(常時24種類以上とか)、「試食は3種類までだけど、特別4つ目もOKよ!」と、明るい店員の女の子がすすめてくれたのは、塩バニラ、抹茶、マンゴー、etc.。一生懸命、コーンにジェラートをつけてくれる彼女たちの姿もほほえましい。
しっかりとしたミルクの味と、クリーミーな舌解けがたまらなかった。
ジェラート屋は他にもあちこちにあるらしい。夏の夜の〆はジェラートがお勧めだ。

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店内の雰囲気も素敵なスチームワークスのパブ

〆と言いつつ、レンガ造りのビール醸造所が見えたとたん、〆の〆に?足が向いてしまった。バンクーバー発祥の地と言われるガスタウンの入口にある「スチームワークス・ブリューイング・カンパニー Steamworks Brewing Company」のブリューパブだ。
http://www.steamworks.com/(英語)

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ウォーター・フロント駅からすぐ近く

近年、クラフトビールと呼ばれる地ビールの人気が上がり、醸造所が次々にできており、バンクーバーには醸造所巡りのツアーもあるそうだ。ここは6種類のオリジナルビールをもっている。

店内ではやはりスポーツ放送が流れていた。席に通された途端、なでしこジャパンのダイジェストニュースが始まった。のど越しの良い新鮮なラガーは、勝利にふさわしい軽やかさだった。

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