代々受け継がれる食事:ブリティッシュ・コロンビア州の先住民料理

代々受け継がれる食事:ブリティッシュ・コロンビア州の先住民料理

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代々受け継がれる食事:ブリティッシュ・コロンビア州の先住民料理-イメージ1

ブラッコム・マウンテンの向こうに日が沈む中、シダープランクサーモン(ヒマラヤ杉の板で焼いたサーモン)、バッファローの燻製、野生キノコのピラフをお腹いっぱい詰め込む。バンクーバーの北の山間部で、伝統的な先住民のバーベキューを楽しんでいるのだ。ウィスラーのスコーミッシュ・リルワット文化センター(Squamish Lil’wat Cultural Centre)では、夏になると毎週シェフが野外で楽しめるバノック(パンの一種)とサーモン、新鮮なサラダ、ベリーのクランブルという素晴らしいディナーを用意してくれる。ブリティッシュ・コロンビア州の先住民の食事がどんなものなのかを学ぶいい機会にもなるだろう。

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先住民の人々の儀式や台所のテーブルで古くから親しまれてきた伝統的な料理は、つい最近まで先住民以外のコミュニティにはほとんど知られていなかった。ブリティッシュ・コロンビア州では、ここ数年で先住民のカフェやレストランが多数オープンするようになり、先住民の最新かつ最古の料理を誰でも楽しめるようになった。

まず簡単に歴史の話をしよう。ブリティッシュ・コロンビア州は地球上で最も古く、最も多様な先住民文化を持つ地域のひとつである。州内の各地には何千年にもわたって先住民が住み着き、この地域は現在カナダで最も先住民のグループが多い地域となっている。トーテム・ポールからロングハウスまで、その芸術や建築物は世界中で称賛されている。この地でこのような文化が花開いたのは、森林、海、湖、山々の豊かな自然が広がり、食料が豊富だった(そして今でも豊富である)ことが理由のひとつだ。川にはサケが、海にはカキやギンダラ、カレイが、森にはジビエとベリー、キノコ、葉野菜が、ふんだんに満ちている。

もちろん、今では食料を探し回る必要はない。バンクーバーの小さな人気店、サーモン・エン・バノック・ビストロ(Salmon n’ Bannock Bistro)の予約を取るだけでいい。天井から吊り下げられたカヌーをはじめとする先住民の豊かなアートに彩られたわずか26席のレストランは、この街の先住民料理のリバイバルの先陣を切ってきた。

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先住民「ナクサルト(Nuxalt)」のメンバーであるイネス・クック(Inez Cook)とケベック出身のレミ・コードロン(Remi Caudron)が経営するこのレストランは、ブリティッシュ・コロンビアの先住民料理に欠かせない2つの要素にちなんで名づけられた。ひとつは、天然のサケ。スモークしたり、焼いたり、干したり、ときには砂糖漬けにしてもおいしい。もうひとつのバノックは発酵されていないパンで、クラッカーからデザートまで、あらゆるものに使われる。キノコを載せたバノックのトースト、シロザケの砂糖漬けスモークサーモン、直火焼きのサーモンムースから始まり、メインは濃厚でジューシーなシカのバーガーにベニザケのフィレ、野牛のストリップロインのアプリコットブランデー煮。そしてデザートは、もちろんバノックだ。今夜のコースはバノックのプディングでブリティッシュ・コロンビア州の遺産を締めくくる。

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つまり、先住民料理の肝はバノックなのだ。フライブレッドとも呼ばれ、通常小麦粉で作られるアツアツふかふかのバノックは、フライパンで焼いたり、油で揚げたり、ベイクしたり、棒に刺して焼いたりして食べる。北米全体で先住民料理に欠かせない一部となっている。

ほとんど独力でバノックを21世紀に復活させたレストラン経営者のひとりが、シャロン・ボンド=ホッグ(Sharon Bond-Hogg)だ。ブリティッシュ・コロンビア州メリットのヌーアイチ(Nooaitch)ファーストネーションのメンバーであるボンド=ホッグは、ケクリ・カフェ(Kekuli Café)を経営している。メリットとウエストケロウナに店舗を持つこのカフェは、「慌てないで。バノックあります」というキャッチフレーズで旅人を安心させてくれる。

そして、まさにそのフレーズ通り、ボンド=ホッグのバノックは毎日出来立てで、あらゆる美味しい詰め物をした(単なる語呂合わせ以上の)大満足の食事を提供してくれる。天然サケのバノディクト(エッグ・ベネディクトを真似たもの)から、バノック・バーガー、バノック・タコス、さらにはたくさんのバノック・スイーツまで、盛りだくさんだ。メープルシロップをかけたバノックかレモンのバターホーンのバノックを、サスカトゥーンベリーの冷たいスムージーと一緒にお試しあれ。

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伝統的な冬の家にちなんで名づけられたケクリ・カフェは、ブリティッシュ・コロンビア州に点在する先住民カフェのひとつにすぎない。1年中営業しているウィスラーのスコーミッシュ・リルワット文化センターのカフェや、ダンカンのカウチン文化・会議センター(Quw’utsun’ Cultural and Conference Centre)のリバーウォーク・カフェ(Riverwalk Café )、ハイダ・グワイ(Haida Gwaii)のハイダ・ヘリテイジ・センター(Haida Heritage Centre)のカイ・ビストロ(Kay Bistro)など、多くのカフェが先住民の文化センター内に設置されており、芸術や文化、歴史に触れながら伝統的な料理を試食することができる。

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最後に、大陸の端に立ち寄ってみた。ユキュレット(Ucluth)ファーストネーションが運営するクウィシティ・フィースト・ハウス(Kwisitis Feast House )は、人里離れたバンクーバー島のビーチの太平洋側にある。海の見えるテーブルでサーモンのチャウダーとバノックを食べていたら、ここで何世紀も魚を採って生きてきた人たちと同じ景色を見て、同じ味に舌鼓を打っていることに気が付いた。間違いなく、私は店内で最高の席についていた。

<リンク>
スコーミッシュ・リルワット文化センター (Squamish Lil’wat Cultural Centre)
サーモン・エン・バノック・ビストロ (Salmon n’ Bannock Bistro)
ケクリ・カフェ (Kekuli Café)
カウチン文化・会議センター (Quw’utsun’ Cultural and Conference Centre)
ハイダ・ヘリテイジ・センター (Haida Heritage Centre)
クウィシティ・フィースト・ハウス (Kwisitis Feast House)

コメント

  • 小木曽早苗

    天然のサーモンたっぷりの料理、バノックも食べてみたくなりました。

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