もっと知りたい アルゴンキン州立公園

もっと知りたい アルゴンキン州立公園

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設立:1893年。2013年には120周年を迎えた。州立公園としてはカナダでもっとも古い
広さ:7,725 km²。宮崎県とほぼ同じ面積
海抜:125-570m
生物:■ほ乳類53種 ■鳥類272種 ■両生・は虫類31種 ■魚類54種 ■昆虫約7,000種 ■植物1,000種以上

アルゴンキン州立公園にヘラジカを求めて

ヘラジカの暮らしを撮影するため、夏と秋に、オンタリオ州のアルゴンキン州立公園を訪ねた。夏の取材は、水に入って水草を食べる生態などを撮影し、秋には、繁殖に関する生態を中心に撮影した。
アルゴンキン州立公園は、ヘラジカの撮影にとても適した場所だ。何よりもまず、ヘラジカに出会う確立が高い。「北米全体で一番ヘラジカのよく見られる場所だ」・・・とさえいわれている。
アプローチも便利だ。オンタリオの州都トロントから北北西へ約300キロ。車で3~4時間ほどだ。ちなみに、首都オタワからは、西へ約280キロの距離にある。

アルゴンキン州立公園マップ
ヘラジカ注意の標識

公園には、南部を横切る国道60号線で入る。道路には、ところどころ、ヘラジカのシルエットを描いた標識が立っている。ヘラジカが道路を横断することがあるので、衝突しないよう、注意を促すためだ。

特に、5月から6月にかけては、ヘラジカを見るのに一番よい季節とされる。それというのも、この時期、ヘラジカは道路の近くにしばしば出没するからだ。冬、道路の雪を溶かすため塩をまく。道路わきの溝には、その塩分が残っていて、ヘラジカはそれを舐めようとやってくるのだ。ヘラジカは、不足しがちなナトリウムを、水草で補うだけでなく、人のまいた塩も利用するのである。それにしても、巨大な野生動物のヘラジカを車に乗ったまま間近に観察できるのだから、驚きだ。

ヘラジカと遭遇
湖で水草を食べるヘラジカをカヌーで追う

もっとも、ヘラジカの自然な生態を追うとなると、道路からの撮影では限界がある。野生のヘラジカを撮影するのにもってこいの手段が、カヌーだ。湖で水草を食べるヘラジカを探すにも、見つけたヘラジカに近寄るにも、カヌーは不可欠だ。
また、「インテリア」と呼ばれる、公園奥地に入るのにも、カヌーを使うしかない。地図を見ればわかるとおり、国道60号線は公園の南の端を通っているに過ぎず、公園の大部分では、カヌーが唯一の交通手段なのだ。アルゴンキン州立公園には2,000もの湖がある。その大小無数の湖を川や小川が結ぶ。湖や川をあわせた、カヌー水路の総延長は1,600kmに及ぶ。公園内には、カヌー専用のアクセスポイントが設けられ、カヌーの旅の出発点になっている。

カヌー水路

取材では、公園の西にある町、ハンツビルや、東のホイットニーを拠点にしたが、時には、カヌーに機材を積み込み、公園奥地でキャンプすることもあった。
そんなとき、食べ物は、すべて、プラスチックの樽に入れておく。蓋が固くしまり、食べ物の匂いが外にもれない、特別の容器だ。クマをキャンプに惹きつけないためである。アルゴンキン州立公園は、ヘラジカだけでなく、クマも多いのだ。約2,000頭が生息していると推定されている。訪れた人がクマを見るチャンスも結構ある。我々も目撃し、撮影した。

クマ
食べ物をしまうプラスチックの樽

この公園には、オオカミも生息している。しかし、クマと違って、オオカミは滅多に見ることができない。ちらりとでも目にできたら、よほど幸運だといえるだろう。

オオカミ

秋の取材では、その「よほどの幸運」が訪れた。オオカミが姿を現したのだ。それも、ちらりと目撃というレベルではない。午前7時20分頃、複数のオオカミが道路に現れ、なんと8分以上も姿を見せつづけたのだった。
現われたオオカミは、意外に小ぶりだった。従来、アルゴンキン州立公園周辺のオオカミは、北に分布するハイイロオオカミと同じ種類で、体型の小さな亜種と考えられてきたが、近年、DNA分析により、アメリカの限られた地域にのみ生息する、絶滅寸前のアカオオカミに近いらしいことがわかってきた。

夏のキャンプ

夏のキャンプ

秋のキャンプ

秋のキャンプ

アルゴンキン州立公園は、北方の針葉樹林が、南方の落葉広葉樹林に移り変わる辺りに位置する。そのため、針葉樹林の動植物も、落葉広葉樹林の動植物も見られ、生き物の多様性に富んでいる。しかし、この公園の豊かな自然は、太古の昔から「手つかず」で残されてきたわけではない。公園のほとんどは、2~3度伐採されているのだ。

伐採
19世紀、この付近はストローブマツ(ホワイトパイン)の一大伐採地だった。自然保護区としてこの公園が設けられたのも、行き過ぎた開発から自然を守るためだった。
アルゴンキン州立公園のユニークな点は、自然保護区であるにもかかわらず、木材の伐採がつづけられていることだろう。もちろん、かつてとは異なり、綿密な管理計画の元での伐採だ。公園には、伐採の歴史を伝える「伐採博物館」も設けられている。
カナダの大自然だけではなく、自然とかかわってきた人々の営みにも触れることができるのが、アルゴンキン州立公園の魅力かもしれない。
樵の小屋(伐採博物館の展示)

樵の小屋(伐採博物館の展示)

伐採博物館の屋外展示の一つ

伐採博物館の屋外展示の一つ

うつくしいアルゴンキン州立公園

アルゴンキン州立公園の景色1
アルゴンキン州立公園の景色2
アルゴンキン州立公園の景色3
アルゴンキン州立公園の景色4
アルゴンキン州立公園の景色5
アルゴンキン州立公園の景色6
アルゴンキン州立公園の景色7
アルゴンキン州立公園の景色8
アルゴンキン州立公園の景色9
アルゴンキン州立公園の景色10
アルゴンキン州立公園の景色11
アルゴンキン州立公園の景色12
アルゴンキン州立公園の景色13
アルゴンキン州立公園の景色14
アルゴンキン州立公園の景色15
アルゴンキン州立公園の景色16
アルゴンキン州立公園の景色17
アルゴンキン州立公園の景色18

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