もっと知りたい フレーザー川
河口付近の川幅は、広いところで1km以上に及ぶ

もっと知りたい フレーザー川

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大都会バンクーバーで海に注ぐ

源流はロッキー山脈

ロッキー山中のフレーザーパス(標高2015m)に源を発し、大都会バンクーバーで太平洋に注ぎ込むフレーザー川。全長1,375kmに及ぶ、ブリティッシュコロンビア州で最も長い川だ。この川を、多い年には3000万匹ものベニザケが、産卵のために遡る。

フレーザー川の上流

ベニザケは、湖に注ぎ込む川の上流で産卵し、生まれた稚魚は湖に下って、1~2年を過ごす。だから、卵を産むには、湖と川のセットが欠かせない。
フレーザー川の上流には、川と湖がセットになったところが20カ所余りある。ベニザケは、こうした環境を求めて数百キロという長い旅を続けるのだ。
河口のバンクーバー付近から、産卵地の支流のひとつ、アダムス川まで、500kmに及ぶベニザケの旅を、川の風景とともに、たどってみよう。

ベニザケ 500kmの旅

(1)河口付近

フレーザー川の河口は、バンクーバー市の沖合い

河口に集まったベニザケ

フレーザー川の河口には、夏から秋にかけて、アラスカなど北の海からベニザケが戻ってくる。ベニザケは、しばらく河口付近で過ごし、体を真水に馴染ませる。体はまだ黒っぽく見えるが、顔がやや尖り、背中も盛り上がりを見せるなど、変身が始まっている。
遡上を始めたら、食べ物は摂らない。体に蓄えた養分で500kmの旅をし、卵を産むのだ。

(2)河口から80km。ミッション

川幅は数百m

ベニザケの群れは調査用の特殊な装置で確認できる

9月下旬。ベニザケは遡上を始めているはずだが、下流は、川幅が広く、水も濁っているため、その姿はなかなか見つからない。ただ、サケの量を調査する人たちが用いる装置には、たくさんの魚の影が映し出され、確かに大量のベニザケが遡上していることがわかる。

(3)河口から200km。ヘルズゲート

川幅が狭まり、急流が渦巻く、最大の難所

波をうまく使ってジャンプ!

フレーザー川は、中流域で急峻な山の間を流れる。特に、ヘルズゲートと呼ばれる地点は、川幅わずか35メートル。そこを大量の水が流れ下る。かつて大陸横断鉄道の建設工事が原因で渓谷の川幅が一層狭まり、激流が生まれた。サケにとっては、フレーザー川最大の難所だ。下流に比べて同じ距離を進むのに6、7倍ものエネルギーを使うという。

既にかなり色づいている

既にかなり色づいている

(4)河口から250km。リットン付近

清濁、二つの川が合流

この辺りで、しばしばジャンプ

リットンの町はずれで、2本の川が合流する。上流に向かって右側の川の水は透き通っているが、左側の川は濁っている。ベニザケの多くは、透き通った川、トンプソン川の方へとのぼっていく。
分岐点を過ぎたあたりで、ジャンプするベニザケを見かけるようになる。進んでいる方向が誤っていないかどうか、確かめているのかもしれない。

(5)フレーザー川の支流、トンプソン川へ

上流に向かって右側、緑色の流れがトンプソン川

トンプソン川は大きな橋の下を通過

(6)河口から400km。カムループス付近

木がほとんど生えていない乾燥地帯

続々と川を遡るベニザケ

(7)河口から500km。シュスワップ湖

秋のシュスワップ湖

水中の大群

10月上旬。シュスワップ湖にたどり着いた。面積が琵琶湖の半分ほどもある、大きな湖だ。
ベニザケの体の色は、鮮やかな赤と緑に変わっている。

真っ赤なサケの大集団

湖で休み、体を成熟させる

ベニザケは、体が成熟するまで、湖で一週間ほど休んで過ごした後、産卵する川に上る。

湖でクマに襲われるものも

やがて、支流に上る

(8)アダムス川へ

アダムス川
産卵の様子

産卵には、冷たく澄んだ水と、適度な大きさの石の川底が必要。シュスワップ湖には、そうした川が4本ほど注ぎ込んでいる。アダムス川はその一つ。特に多くのベニザケが上る、北米で最大規模の産卵地だ。


ベニザケの産卵

産卵場所を決める

ベニザケで埋まるアダムス川

浅瀬に遡ってきたオス

アダムス川は全長約11km。遡上するベニザケの数は、ビッグランの年には約400万匹に達する。産卵場所を巡ってメス同士が争うこともある。

産卵床を掘る

手前がメス

尾びれで小石を弾き飛ばす

メスは、卵を産む場所、「産卵床(さんらんしょう)」を作る。産卵床は、直径1m、深さ20㎝ほどのくぼみ。完成するまでに三日もかかる。

烈しい闘争

オス同士の激しい争い1
オス同士の激しい争い2

産卵を目前に控え、メスをめぐるオス同士の激しい争いが起こる。

産卵

産卵の瞬間

産み落とされた卵

メス(右から2匹目)が卵を産む瞬間、ペアになったオス(右から3匹目)だけでなく、戦いに敗れたオスたちも、何とか子孫を残そうと、割り込んでくる。

産卵後

繁殖を終え、命尽きたベニザケ

アダムス川を流れ下り、シュスワップ湖に積もった遺骸

ベニザケは産卵の後ほどなく生涯を終える。その体は、川に運ばれ、湖へと流れ着き、やがて水中の微生物の働きによって分解される。すると、それが栄養になって植物プランクトン、そして動物プランクトンがたくさん生み出され、稚魚の食べ物となる。ベニザケは、死んだ後も、子孫繁栄に貢献するのだ。

ベニザケの稚魚

コメント

  • 杉江俊光

     自然界の掟!子孫を残す為、上流へ上流へと!そして産卵。さらに使命を終えて死。循環、ああ神秘?分解、輪廻。自然って素晴らしいです。

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