05. 3つの「M」

永遠のカヌー05. 3つの「M」

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それにしても、こんなに簡単にムースに出会えるとは、想像すらしていなかった。結局ムースは見られなかったなあ、という帰国も当然、あり得ると僕は思っていた。

ところがカヌー探検の初日、青空の下でのんびりとカヌーを漕いでいると、突然うしろからガイドさんの声がした。「いたいた、あっち!」

遠くにムースの巨体が見える。逃げる気配はまったくない。驚かせないようにカヌーを静かに近づけていく。口の周りから水草がたれている。間違いない、食事中だ。

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ムースには「ヘラジカ」の名前がある通り、巨大な体にヘラのような形の大きなツノが生えている。メスにはツノが生えないから、このムースはオスだ。

ツノはまだ「ヘラ」のようにはなっていない。まだまだ「ヘラ」の手前、ツノにしか見えないから、若いオスのムース、ということなんだろう。

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アウトドアにはあまり縁のない僕でも、このカナダ・シアターで紹介されている動画「ヒゲじいと訪ねるカナダの大自然 ヘラジカ」とか、「もっと知りたいヘラジカ」の原稿をちゃんとチェックしているので、ある程度の知識は持ち合わせている。

僕にカメラを向けられているのが気になり始めたんだろうか、若いオスのムースは急に走り始めた。食事場所を変えるつもりなのかもしれない。

僕は以前、カナダのイメージを代表するものとして、3つの「M」について聞いたことがある。マウンテン(Mountain)、ムース(Moose)、マウンティ(Mountie)がそれだ。

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マウンテンはカナディアン・ロッキーに代表される雄大な山々。ムースはこのヘラジカで、マウンティというのは王立カナダ騎馬警察隊(Royal Canadian Mounted Police)の愛称。RCMPと呼ばれることもある。

赤いユニフォームと帽子が特徴的で、なんとなく知っている人も多いと思う。

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RCMPについてはまだ取材したことがないけれど、既にカナディアン・ロッキーには行っているし、今回、ムースと出会えたことで3つの「M」のうち2つを制覇したことになる。

そんなことを思っていると、若いオスはどうにも落ち着かないらしく、僕に背を向けて、というより、僕にお尻を向けて悠然と去っていった。食事の邪魔をしてしまったかもしれない、申し訳ない。

さて、早々にムースにも出会えたし、僕のカヌー探検の滑り出しは上々と言っていいだろう。そろそろ湖畔でテントをはり、昼食をとることになった。

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僕らがキャンプをするのは「レイク・トム・トムソン」という湖。ちなみにアルゴンキン州立公園には2400以上の湖沼群と、総計2100キロのカヌールートが設定されているんだそうだ。

といっても、どれだけすごいのか素人の僕にはピンとこないけれど、日本国内でカヌーを楽しんでいる人にとっては、ちょっとびっくりする数字なのかもしれない。

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ガイドさんにやり方を教えてもらってから、自力でテントを組み立てる。こうした道具類もどんどん進化して便利になっているんだろう、僕のような素人でもすぐに完成させることができた。

湖畔でのランチはこんな感じ。トルティーヤの皮にイチゴのジャムやピーナツクリームを塗って、チーズにサラミなどを巻く。それをただパクつくだけだけれど、どうしてこんなに美味しいんだろうか。

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やっぱりこんな雰囲気の中で、キャンプで本格イタリアン、なんてことをやられたら、心底興ざめだと思う。僕はアウトドア派じゃないけれど、そういう都会的なところから距離を置くところにアウトドアの本質があるんじゃないだろうか。

で、やっぱりありました、林の少し奥に。サンダーボックス。いやあ、これは気分よく大自然に浸れるのか、ソワソワして出るものも出ないのか、その時になってみないとなんとも言えないなあ。

このあたりは例外的に、都会的な施設があってもいいんじゃないか、などと思ってしまうけれど、それが単なるワガママであることは本人が一番分かっているから、このまま聞き流していただきたいと思う。

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