11. 人間の知恵

永遠のカヌー11. 人間の知恵

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カヌーの舳先を反り返らせてテント替わりに使ってしまうなんて、「必要は発明の母」とは言うけれど、「人間の知恵」ってなかなかすごいものだと思う。

ところで、カヌー探検の初日がこれで終わってしまうのもちょっと寂しいので、僕がカナダで出会った、キャンプにおけるところの「人間の知恵」をいくつか紹介しておきたいと思う。

例えばこれは、「FOX40」というその道では有名なホイッスルだ。なにしろ大音量で、ほかのホイッスルが水に濡れると音が出にくくなるのに対し、この「FOX40」は濡れてもそのまま大音量なんだそうだ。

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だから熊が出た時なんかはこれを思い切り吹いて追い払う、という話らしいんだけれど、ホイッスルが水につかるほどずぶ濡れな状態で熊に遭遇するって、かなり絶望的なシチュエーションのような気もする。

次は、どこですっても火がつくというマッチだ。クリント・イーストウッドは西部劇の映画の中で、やたらめったらシュッとこすり付けてタバコに火をつけていたけれど、あれはこれと同じような商品なんだろうか。

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キャンプで火をつける道具としては、こんなものもあった。現代版「火打ち石」ということなんだろう、金具部分をカチカチやると火花が散って火がつけることができる。

そう言えば、「キャスト・アウェイ」という現代版ロビンソン・クルーソーみたいな映画で、主演のトム・ハンクスが絶海の孤島で火を起こそうと何時間も木と木をこすり合わせて、それでもうまくいかず、ついには枝で手のひらを怪我して大量出血するというシーンがあった。

出血した手でバレーボールを握り、腹立ち紛れに岩に叩きつけたあと、ふと思い立ってその血の跡で人の顔を描いてみる。それ以来、トム・ハンクスはWILSON社製のボールを、無人島生活をともに生き抜く相棒として、「ウィルソン」と呼んでいたっけ。

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さて、こっちの写真は、キャンプに連れて行った愛犬の首輪につけたり、とにかく真っ暗な中でも所在がわかるようにするためのライトだ。

トム・ハンクスは筏で無人島を脱出し、大海原を漂っているうちにボールのウィルソン君が誤って波に流されてしまい、相棒との永遠の別れに「ウィルソ~ン!!」と号泣していた。愛犬とはぐれたらそれはそれは悲しいだろう。ライトを付けておくといいと思う。

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愛犬、と言えばこんなものまであった。犬用の救命胴衣だ。

ライトぐらいならいいと思うけれど、そもそも救命胴衣が必要な犬なんて熊が出た時に飼い主を助けてくれるんだろうか。「FOX40」のホイッスルの方が使えるだろうから、キャンプには連れてこない方がいいような気がする。

役に立たない、という意味ではバレーボールのウィルソン君と大して違いがない。いやいや、ウィルソン君は波間にプカプカ浮いていたから、少なくとも溺れてはいなかったはずだ。

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まあ、愛犬やウィルソン君に感情移入して心の癒しを得る、というのは、まさに「人間の知恵」そのものなのかもしれないけれど。

毛皮交易の時代にも「人間の知恵」はいろいろなものを生み出している。

例えばこの鍋というのかバケツというのか、このセットときたら、いかに効率的にカヌーに積み込むかを考えた末にできたものだろう。

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この携帯用の食器入れ、と言えばいいんだろうか、ナイフとフォークにパイプまで入って、なかなかの工夫が施されている。

こんな工夫いっぱいの荷物を積み込んだ毛皮交易のカヌーだけれど、交易の大動脈とも言える「フレンチ・リバー」にあるリコレット・フォールという難所では、あまり荷物が重いと漕ぎ手たちが落としたふりをして荷物を水の中に投げ入れることがあったんだそうだ。

分かりやすく言うと、単なるサボタージュだ。

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だからリコレット・フォールの水底を調べてみたところ、斧とか鉄砲の弾とか、あるいはトップ写真にあるようなロザリオなんかが見つかっている。

こういう話は人間臭いというか、歴史に血が通ってくるようで、僕なんかは結構好きなエピソードだ。

ただし、世の中一般では、荷物を勝手に捨てちゃうなんて、「人間の知恵」というよりは、「悪知恵」の類だ。

良い子のみんなは、決して真似をしてはいけない。

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