Day 6&7 キミルト&ロワーサベッジ諸島
レイクハーバーという英名を持つキミルトの静かな美しい湾

C.W.ニコル、北極圏 への航海。Day 6&7 キミルト&ロワーサベッジ諸島

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キンガイットを出たあと、「オーシャンエンデバー」はバフィン島の南岸に沿って南東に進み、次のイヌイットの村があるキミルトの湾に錨を下ろした。

キミルトは、以前レイクハーバーという英語名で知られていた。この村を抱く湾は奥深く、水深もあり、山にしっかりと囲まれていて自然の良港をなしている。レイクハーバーというのも、きっとその湾内の静けさから付けられた名前だろう。

また、キミルトでは大理石層の間からいろいろな珍しい石を発見できる。そのため、イヌイットの彫刻家たちにとって、そこは素材を得るための重要な採石場所であり、村には石彫アーティストも多く住んでいる。最近では、ここで採れる貴石を利用した宝飾品作りも始まって、作り手が増えてきているという。

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アザラシの皮から脂肪を落とすキミルトの女性。刃が弧を描く“ウル”と呼ばれるナイフを使う。

すでに伝統的な狩猟・移動生活を昔どおりに続けられなくなって久しいイヌイットの人々にとって、伝統文化の存続と、経済的な自立は積年の願いだ。連邦政府からの生活保護では、イヌイットの尊厳は維持できない。以前収入源の1つだった動物の毛皮は多くの国が輸入を禁止してしまった。だから、イヌイットアートや手工芸品が外に売れるようになったのは大きなことだった。またアドベンチャーカナダのような、意識の高い探検クルーズの船がやって来るようになって、この極北の村に観光が始まりつつあることも、彼らにとって良いニュースとなるはずだ。

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肩と肩を合わせて押し合うイヌイットの相撲。男たちの力比べ遊びにはいろいろな種類がある。

さて、クルーズ6日目も快晴となった。昼食のあと、我々は再び小型ボートに乗ってキミルトに上陸した。ひとしきり村を散策したあとには、皆学校の体育館に集合して、キミルトのイヌイットたちとの交流会に参加した。

イヌイットの人々は屋内で楽しむ遊びや競技を豊富に持っている。そのいくつかを地元の若い男たちが披露してくれた。1つは、二人が互いに四つん這いになり、片側の肩と肩とを合わせて押し合う相撲だ。押し切ったほうが勝つ。勝った者は次の挑戦者を受けて、と続いていく。

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アドベンチャーカナダのスタッフ、ブアイアン・ファーバー。真面目で愉快なエンターテイナー。

次の競技は、中空高く、男性の目の位置くらいにテニスボールを下げる。このボールを目がけて競技者はジャンプし、片足どちらかの甲でボールを蹴ることができれば成功である。足の甲で蹴るということは、ボールに対して正対しなければならず、高くジャンプするのは難しい。誰がより高く柔らかく跳んで、正確に足の甲でボールを捉えるか、そこが見どころになる。

最初は、地元の若者同士で競い、続いては、アドベンチャーカナダのスタッフが彼らに挑戦した。その間には、わざと面白おかしく失敗する道化役も飛び入り出場して、村の人々と船からの客で大入り満員となった体育館は、大いに盛り上がり、笑いに包まれた。

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流氷の海を海中から覗く。深い緑の重々しい水面の波のきらめきにしばし目を奪われた。

その午後遅くキミルトをあとにした我々は、7日目の7月23日、バフィン島南岸沿いをさらに南東へと進み、同島の南東端に位置するロワー・サベッジ諸島に向かった。朝6時半、デッキに出てみると、外は濃い霧に包まれて周囲は全て真っ白だった。気温は摂氏7度。船は冷気の中を進んでいた。向かい風が強く吹いていたので、体感温度はさらに低い。昨日までの暖かな陽気はすっかりと消えていた。

午前中、船が航行を続ける間は、いつものようにラウンジでレクチャーが行われる。本日は、イヌイットアートの専門家、ジョン・ヒューストン氏による“Song in Stone”のほか、“地質学の旅”、“ホッキョクグマ”と、興味深いテーマが並んでいた。

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ロワーサベッジ諸島の間をゾディアックで探検。野生動物たちはこのときは見られなかった。

昼前には、目的地のロワーサベッジ諸島に到着、昼食後、午後1時から我々は小型ボートに分乗して、島を海から散策に出掛けた。クジラやイルカの出現可能性が高いので、カメラや双眼鏡を忘れないようにというアナウンスを得て、皆期待を胸に、次々にゾディアックで出発していった。霧は少しだけ晴れてはいたが、空はまだ低かった。雪をかぶった島々の間を、我々はゆっくりと進み、ホッキョクグマとの遭遇にも期待したが、結局動物には会えずじまい。それでも、海には海氷が浮かび、ようやく北極圏に来ていることを実感しつつ、その厳しい自然の表情を眺めた。

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