13. どこまでも、どこまでも

永遠のカヌー13. どこまでも、どこまでも

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カナダでは、カヌーさえあればどこまでも、どこまでも、遠くに行けそうな気がする。

そう思わせてくれるのが、カヌーを担いで陸上を移動する「ポーテージ」があるからだ。

カヌーを漕いで湖面を進んでいくと、木々の間から黄色い看板が垣間見える。僕がお土産として購入したピンバッジにあった、あのポーテージのマークだ。

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アルゴンキン州立公園にはポーテージのコースがたくさん設置されていて、その目印として黄色い看板が木の幹に取り付けられている。

カヌーを漕ぎ寄せるポイントはこんな感じ。浅瀬ではあるけれど、はしけがあるわけじゃない。親切にも階段が設けられているのが唯一、毛皮交易の頃との違いだろうか。

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カヌーをかつぐ際には、船体をひっくり返し、真ん中あたりに渡されている「ヨーク」という木の棒を肩に乗せる。

カナダのカヌーショップではこんなふうにいろいろなヨークが揃っていて、自分の肩に合ったヨークを購入することだってできる。

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ちょっと話が脱線するけれど、「ヨーク=yoke」というのはそもそも、2頭の牛の首に取り付けて、力を合わせて物を引かせるための「くびき」のことだ。

実は僕は、メープルシロップの取材の際にもヨークに出会っている。

この写真が、牛用のヨークだ。2頭の牛をこれで固定し、樽の乗った橇(そり)を引かせる。樽はメープルシロップの材料となる砂糖カエデの樹液で満たされている。

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一方、メープルシロップづくりでは人間用のヨークもある。こんなふうに肩にヨークをまわし、両端から樹液の入った木のバケツをぶら下げて運ぶわけだ。

本題からさらに遠ざかってしまうけれど、カウボーイが着るシャツの肩のデザインも形がヨークに似ているということから、これもヨークと呼ばれている。

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僕はこの「カナダシアター」で、カヌーの他にメープルシロップ、そしてカウボーイの原稿も書いているけれど、なぜかしょっちゅう、ヨークと遭遇している。

なんだか不思議な感じがして仕方がないので大幅に脱線してしまったわけだけれど、まあ勘弁してほしい。

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そして今回は、メープルシロップでもカウボーイでもなく、カヌーをかついで運ぶためのヨークだ。

浅瀬から上陸し、いよいよポーテージが始まる。僕の肩にヨークがずっしりと食い込んできた。

重いので運べない、というよりも、問題はバランスのようだ。うまくバランスを保てていると、それほど重くは感じないけれど、フラフラしているとバランスを修正するためにとんでもなくパワーを消耗する。

自分がカヌーを担いでいる場面を写真におさめることはできないので、ガイドさんにカヌーを担いでもらい、それを撮影してみた。

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ポーテージのコースの途中には、こんな感じでいったんカヌーを立てかけて休むことができるスポットも設けられていた。

それにしても、毛皮交易の頃のポーテージって、どんな感じだったんだろうか。担ぎ始めてすぐに、こんな休憩スポットが現れるなんてことは絶対になかったと思う。

カヌーされあえば、どこまでも、どこまでも行けるとは思うけれど、要は体力と忍耐力があれば、という前提付きだ。

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それにポーテージはカヌーを担ぐだけじゃない。当然だけれど、カヌーに積んでいた荷物もこんなふうに担いで運ばなくてはならない。

僕が体験したポーテージは1キロちょっととか、せいぜいその程度の距離だ。それでもカヌーの担ぎ方が悪かったのか、ヨークの形状が僕に合っていなかったのか、ひどく肩が痛かった。

毛皮交易の時代、巨大なカヌーは、モントリオールからアサバスカ湖というところまで、実に200回ものポーテージを繰り返して移動したんだそうだ。

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アサバスカ湖はアルバータ、サスカチュワン両州の北部にまたがっていて、もう少し北に行けばオーロラが見られるノースウエスト準州、といった場所にある。

「ピラミッド」も「万里の長城」も人の力によるものだけれど、形があるからこそ後世にその苦労が伝えられているのだと思う。

カナダの大地で気が遠くなるほど繰り返されたポーテージにはもちろん形はないけれど、気が遠くなるような健気な人の営みとして、もっと語り継がれてもいいんじゃないだろうか。

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