05. カナダ鉄道博物館へ

カナダ鉄道の歴史を探る旅05. カナダ鉄道博物館へ

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1961年に開館したエキスポレール(Exporail)という愛称で呼ばれるカナダ鉄道博物館は、この種のものではカナダ最大規模のものだ。敷地中央にある屋内施設「Angus Pavilion」を中心に屋外にもレールが敷かれ、シーズンになるとストリートカーや小さな機関車の乗車アトラクションが行われる。今回はオフシーズンの5月上旬だったから、屋内展示を見学することにした。

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屋内パビリオンに入ると、右側にギフトショップがある。ここで入場券を買うのだが、普通に払うとレジのレシートを渡され、リストバンドなど一式を渡されるところで終わりだ。後で気づいたことだが、ギフトショップのショーウインドーにはこんなカラフルな入場券が売られている。これは贈り物用なのだという。旅行の記念に、ギフトショップで自分用にチケットを買い、それを使って入場すれば記念になる。その旨を伝えれば、手元に戻してくれるはずだ。

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展示室で私を迎えてくれたのは、昨日見たばかりのカナダ初の鉄道で活躍したThe Dorchesterだった。実はこれは精巧なレプリカ(複製)。オリジナルはすでに失われてしまったが、カナダの鉄道がこうした小型の蒸気機関車から始まったことが新鮮だった。当時のレールも一緒に展示されていて、質の良い鋼鉄が安定供給できなかったため、木製のレールに薄い鉄を貼ってレールにしていたようだ。そのため重量の軽い初期の小型蒸気機関車が便利だった。

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手渡されたパンフレットには、館内図が描かれている。パビリオンの展示は、正面に見て左から右に歩くと、鉄道の初期から現代に至るまで詳細な歴史を追えるようになっている。すべての車両は磨き上げられ、整然と並べられている様はたいへん美しい。展示内容は5つのテーマに分かれていて、時代とテーマごとに集められた車両を間近に見ることができる。

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例えば展示の最初「Rails in the city」は、オムニバスの「M.C.P.R.20」からスタートだ。19世紀のモントリオールで活躍したこの乗り物はバスの原型とも言われる馬車で、 雪の上を走ることができるようにそりがついている。

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隣に行くと、ストリートカー。中に入ることができる車両もあるから、なかなか楽しい。鉄道で使われた動力が馬から電気に変わり、効率を求めて進化してゆく変遷がわかる。館内をくまなく見て回るためには、やはり半日は必要だろう。この日はすべての展示をくまなく見て、ほとんどすべてを写真に収めたから、終わってみたら5時間が過ぎていた。

カナダ国内でこれほど充実した鉄道博物館は他にはない。特に正面入り口に展示されている2台の蒸気機関車は、カナダ以外ではどこでも見ることができない貴重なものだ。

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正面左の2850は別名「The Royal Hudson」と呼ばれる、イギリスのエリザベス女王(Queen Elizabeth The Queen Mother、現女王はエリザベス2世)がジョージ6世国王と共に初めてカナダを列車で旅をした「ロイヤルツアー」で使われた蒸気機関車だ。その証として、側面には王冠がつけられている。

「Royal Train」と呼ばれた列車は、ケベックシティー〜モントリオール〜オタワ〜トロント〜ウイニペグ〜カルガリー〜バンフを通ってバンクーバーまで向かうと、今度は引き返してトロントからワシントン〜ニューヨークへ向かい、最後はハリファックスまで約1万4000キロを走破する壮大なものだった。

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カナダ国民は、建国の精神でもあった大陸横断鉄道に乗りカナダ大陸を2往復するイギリス女王と国王夫妻の姿に熱狂した。その間、2850は一度も故障することなく女王と国王を運び、その大役を果たしたのだ。屈強な機関車の動輪を見上げることができる、心憎い演出もある。

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正面右、ブルーと黒のツートンカラーがひときわ美しい流線型のボディーはBR 60010 "Dominion of Canada"だ。A4クラスは、蒸気機関車として最高速度200キロを超える高速運転ができるように設計されたものだ。

LNER(ロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道)により1935年〜38年の3年間に35台がつくられたが、Dominion of Canadaは1937年に6月に投入された5両の一台として誕生し、ロンドンのキングス・クロス駅に配属された。

60009 Union of South Africa
60010 Dominion of Canada
60011 Empire of India
60012 Commonwealth of Australia
60013 Dominion of New Zealand

カナダ、南アフリカ、インド、オーストラリア、ニュージーランド。これらの国は英連邦(コモンウエルス)が1931年に発足した時の最初の加盟国だ。ちなみに車両の名前であるDominion of Canadaとは、1867年にカナダがイギリス連邦内の自治領として独立を果たした時に選ばれた国の名前で、のちにCanadaとなった。

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LNERのA4クラスが製造された年代は、アメリカ合衆国やヨーロッパで急速に自動車が普及し始めた時期と重なる。蒸気機関車が高速化を求められた背景には、道路という新しい輸送方法に押され、華やかな時代を終わろうとしていたことがあったのだろう。4489という番号は、LNERによって60000がつけられる以前、最初に製造された時の番号だ。

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現役時代Dominion of Canadaはカナダ大陸を一度も走ることはなかったが、名前の由来から、退役後にCRHA(カナダ鉄道歴史協会)に寄贈、1966年よりカナダで保存されている。ガーターブルーの美しいバックグラウンドに映えるカナダの紋章(The Coat of Arms)が、国の誇りを伝えている。

コンパクトな蒸気機関車から始まった発展の歴史は、技術的な最高点に達した A4クラスのDominion of Canada で完成した。カナダの国名がつけられた車体を鉄道発祥の地で見ることができるのは、大変意味のあることだろう。

カナダ鉄道博物館(Exporail)
http://www.exporail.org/en/

開館時間は季節によって異なるため、事前にウエブサイトを要確認:
http://www.exporail.org/en/plan-your-visit/schedule-and-admission-fees/

モントリオール中央駅からのアクセス方法:
http://www.exporail.org/en/plan-your-visit/address-and-access/access/

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