06. 北緯49度線と、カナダ大陸横断鉄道の夢

カナダ鉄道の歴史を探る旅06. 北緯49度線と、カナダ大陸横断鉄道の夢

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来年2017年、カナダは建国150年を祝う。東西に広がる大きな国を一つにまとめるため、当時の政府は「大陸横断鉄道なくして、建国なし」と宣言し、1867年憲法(Constitution Act, 1867)の第10部(PART X)に「Intercolonial railway」の建設が明記された。当時の為政者たちは、広大な大地を持つカナダを一つにまとめる必要な要件を揃えつつも、最後まで残った国民を一つにまとめるものを探し求めていたようだ。カナダを一つにまとめるという夢を担ったのが、鉄道だった。

実はこうした政策が決定される以前から、セントローレンス川周辺のマリタイム(ニューブランズウィック州、ノバスコシア州、プリンスエドワード島)、そしてオンタリオ州では、鉄道建設が盛んだった。

2006年の夏に親しい友人家族と共に東部カナダをクルマで周遊する旅に出た。トロント〜モントリオール〜ケベックシティー〜モンクトン〜P.E.I〜ペルセ〜ガスペを回り、セントローレンス川沿いを走ってケベックシティーに戻り、モントリオール〜トロントというルートで、走行距離は5000キロ近かった。

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VIA鉄道は、モントリオール〜ハリファックス間を結ぶオーシャン号を週3回運行しているが、夕方7時前に出発する列車が到着するのは午後6時頃と、ほぼ24時間の列車旅を楽しむことができる。この写真は、子供たちを妻に預け買い物に出たわずかな時間、午後1時過ぎにモンクトン市内のVIA駅に入線するオーシャン号を捉えたものだ。この列車はここからさらに大西洋岸の港湾都市ハリファックスへ進んでゆく。

モンクトンは大西洋に面する街で、 川の色がチョコレート色に変わるほどの潮の満ち引きが印象的だった。海岸にはフラワーポットと呼ばれる奇岩があり、潮が引いている時間帯は階段を降りて浜辺を歩くことができるなかなかの絶景を楽しめる。満潮時にはカヤックで海岸を回るツアーが人気だ。

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この時はモンクトンからプリンスエドワード島に入ったのだが、記憶に間違いがなければ、このディーゼル機関車は島内をクルマで走っている時に見つけてあまりにこの場に似つかわしくなかったので、撮ったものだったと思う。その昔、ここにも鉄道は通っていたが今ではすべて廃線となり、コンフェデレーション・トレイルとして散策路やサイクリングロードとなっている。

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VIAはオーシャン号の他にもう1本、ガスペ行きの列車を運行している。ガスペは1534年にフランス人探検家ジャック・カルティエが初めてカナダに到達し、フランスによるカナダ植民地の歴史を切り開いた最初の場所だが、海岸に立つと大西洋に面した雄大な風景が印象的だった。モントリオールからセントローレンス川を北上する美しい風景が楽しめる列車は、大陸横断列車とはまた違ったダイナミックかつヌーベルフランスを感じることができる夢のある路線だ。

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ガスペに行く手前にはペルセという、こちらも大西洋に面した街がある。ここは4億年前に遡ると言われるペルセ岩という巨岩がある。岬に近い坂を上がると散策路があり、小高い丘から真下に見る風景が美しかった。

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ペルセとはフランス語でピアスのことで、岩の向こう側がピアスのように穴が空いているからそういう名前なのだと聞いたことがある。干潮時には岬を降り、浅瀬を歩いて岩まで歩いて行くことができる、なかなかスリリングな体験ができる。ガスペ行きの列車は、ここにも停車する。

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カナダ大陸を横断する鉄道には、Coast to Coastというキャッチフレーズがある。東海岸から西海岸にまたがる大陸を一つにするというカナダの建国事業に大きな役割を果たした鉄道だが、2006年に私たち家族が立ったあの海岸が、いわばカナダの出発点だった。

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カナダ東部はすでに多くの鉄道路線が出来ていたから、大陸横断鉄道の建設は国境に並行する中西部地区からロッキー越えのルートに集中して行われ、1881年に始まった工事は1885年に完成すると、翌年7月23日にはモントリオールから初めての列車が出発した。

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その駅はDalhousie Stationと言って、モントリオール旧市街にある。駅舎は美しく改装され、その壁には記念碑が埋め込まれている。実はこの記念碑は偶然歩いていて発見したもので、思わず声を上げてしまった。ちょうどシルク・ド・ソレイユの2016年シーズン新作LUZIAを見に行く途中に突然目に入ってきたのだが、不思議な縁だと感じた。

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もう一方のCoastである西海岸の駅は、バンクーバーにある。ここからVIA鉄道は、週3本のカナディアン号をトロント~バンクーバー間で運行しているが、オンタリオ州に入るまではアメリカとの国境となるNoth 49(北緯49度線)にほぼ平行して走る。PACIFIC CENTRALという文字が輝いている威風堂々の駅舎の写真は、2013年にバンクーバーからカナディアン号に乗りトロントへ向けて出発する直前に撮ったもので、一生の思い出となったカナダ大陸横断旅の出発駅だ。

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思えばカナダで暮らしたこれまでの18年間は、東はガスペの岬から西はバンクーバーの港まで長い時間をかけた旅のようにも思える。ガスペの先、大西洋を挟んで向こう側にはカナダを拓いたフランスがあり、そしてイギリスがある。

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