02. I love my New Ride

カナダ大都市の交通改革02. I love my New Ride

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夏が終わろうとする8月31日。この日は朝からよく晴れていた。地下鉄開業60周年を迎えた2014年は、トロントにとってエポックメーキングな年だったが、長く待ち望まれていた新型ストリートカーがこの日、トロントの街を走り始める。

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スパダイナという名の出発駅に着くと、構内はすでに行列ができていた。早速列の最後尾に加わると、ホームの中央でセレモニーが始まる。2〜3人の挨拶の後、いよいよ新型車両が入ってくる。テープカットは、大歓声のなか車両の先頭が幅広の幕を通過するところを、遠目に眺めることができた。

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ドアが空き、行列の先頭から続々と車両に乗り込んで行く。満員御礼、テレビカメラの照明がこうこうと焚かれている一番列車が出発するとすぐ、後続の列車がやってくる。今回のお披露目に使われたのは、試験走行が終わったばかりの2台の新型車両だが、幸い私は二番列車に乗り込んだ。

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車内は満員だったので落ち着いて眺めることはできなかったが、新車の匂いがした。旧型と違うのは運転席がドアで完全に仕切られていることと、車内に券売機があることだ。降車する時はボタンを押すか黄色い紐を引っ張るのはこれまでと同じ。

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終点まで行き引き返す時に、運転席のすぐ後ろに立って前方を見ていると、レトロなPCCカーがこの日に合わせて運行していることに気づいた。熱心な鉄道ファンが、この日のために特別ツアーを計画したのだ。PCCとFlexityがすれ違うと、車両の中から歓声が上がる。記念日に面白い遊び方をするものだと、感心してしまった。

いろいろな意見があるけれど、結局のところトロント市民はストリートカーが大好きなんだろうと思う。この日に配られた缶バッジには「I love new Ride!」と書かれている。

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2012年の夏、19世紀にストリートカーが初めてお目見えした伝統のCNEに、新型車両のモックアップ車両が展示されていた。トロントは今、これまでの路線に加え、ダウンタウンの北部でライトレール(LRT)と呼ばれるより輸送能力のある交通システムが計画されている。これはそのLRTで使われる予定の車両デザインだが、ダウンタウンを走る新型ストリートカーも、この流れに沿った形になった。

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ライトレール(LRT)というのは、路線バスより輸送力があり、鉄道より建設コストが安い交通システムの呼び名だ。ストリートカーは自動車が使用する道路を使うのに比べ、LRTは専用線を使うところが違う。実にTTCのFlexityが走ったスパダイナ線は道路からは分離された専用線だったから、広い意味でライトレールと言って良い。トロントのストリートカーシステムは徐々に、LRTへと変化し生き残っていくのだろう。

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カルガリーだが、カナダの首都オタワにもライトレール(O-Train)が実験的に導入され始めている。オタワ市内の交通をまかなっているのはOC Transpoだが、従来からバス路線が主流だった。それが2001年からO-Trainというライトレールを実験的に導入しているのだ。

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この写真を撮影した2016年5月の時点で、オタワではトリリアムと呼ばれる1路線が開通していて、Greenboro〜Bayview間の8キロを5駅で結んでいる。軌道は道路からは完全に分離されているから、普通の鉄道と思ってしまいそうだが乗り込んだ2両編成の車両はコンパクトで、まさにLRTといったものだった。

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車両はパリに本部があるAlstom製Citadis。駅のホームにいると遠くからディーゼルエンジンのあの独特な音がしてくる。動力はトロントの空港鉄道UP Expressと同じDMUだが、外観はTTCのFlexityと似ている。乗ってみると入り口付近は低床型だが、車両前後の床が上がっているので車両内にステップがある。

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現在、第2のコンフェデレーション線が建設中だ。オタワVIA駅を降りると、かつてのバスターミナルが壊され駅の予定地になっていた。完成すれば駅を降りて迷わずダウンタウンへ向かうことができるから、VIA鉄道を使う旅行者にとっては大変便利になるだろう。完成目標はカナダ建国150周年の2017年を予定していて、車体にも記念のロゴと2017の文字が誇らしげにプリントされている。

都市交通は、ストリートカーからライトレールへと大きく舵を切っているのだ。

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