カナダ大都市の交通改革

04. カナダに根づくフランス文化の一端を見る

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トロントの都市交通の歴史を振り返った後、再びVIA鉄道でモントリオールへ向かった。カナダで2番目に開通した、この街を走る地下鉄に乗りたいと思ったからだ。
モントリオールの文化的背景には、フランス文化がある。来年(2017年)カナダは建国150周年を迎える。同じ年にフランス植民地として始まった歴史の375年という節目の年を迎えることもあり、モントリオールは全体が大きな祝祭の年となる。

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この秋(2016年10月14日)、メトロと呼ぶモントリオール地下鉄は開業50周年を迎える。駅の入り口はMETROとかいてあるブルーの矢が目印だ。正式名は、STM (Société de transport de Montréal Metro)という。

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市内を走る路線は4本。グリーン(1966年開業)、オレンジ(1966年開業)、イエロー(1967年開業)、ブルー(1986年開業)と4路線が色分けされている。車体は、パリ地下鉄のMP59という車両を元にしてモントリオールに合うよう改良されている。1966年の開業当時から使用されているブルーの車体はMR-63と呼ばれ、現在もグリーン・イエロー線で、MR-73はオレンジ・ブルー・グリーン線で1976年から使われている。

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メトロが世界中の他の都市と際立って違うのは、車両がパリMP59由来のラバー・タイヤを使っているところだろう。乗り心地は、ちょっとだけふわふわしたユニークなものだ。ホームに停まっている車輪を見ると、確かにクルマのタイヤのようなものがついている。

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ブルーの車両は開業当時からの伝統だが、2016年2月よりMPM-10と呼ばれる新型車両AZUR(アズール)の運行が始まった。ステンレス製の近代的なデザインだが、タイヤは変わらずラバーだ。この原稿を書いている2016年5月現在では、オレンジ線に9両編成の1台のみがオフピーク時(午前10時頃〜午後3時頃、夜7時以降)に走っているから、乗りたい場合はオレンジ線のどこかの駅で待っているとやってくる。

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路線は片道45分のため、長くても20分ほど待っていれば折り返してくる計算だ。この日は25分で駅に滑り込んできた。乗車すると、さすがに新型だけあって車内は明るくて綺麗。大変快適だった。

旧型は車両ごとに完全にドアで分離されていたが、アズールは先頭から最後尾までドアなしで繋がっている。路線が直線になった時の車内風景は壮観だ。東京やトロントだと車両内はつり革がいっぱいぶら下がっているが、アズールはほとんどと言って良いほどないから、これが車内の景観に貢献しているはずだ。

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特にフランス的なエスプリが利いた”粋”な感覚が、アズールには随所に盛り込まれている。例えば椅子。旧型車両はブルーがトレードマークだったが、新型になってステンレス製に変わる。その代わりなのだろうか座席がブルーになり、角にSTMのロゴがペイントされているのが、可愛らしい。

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目立つのは、ドアのアクションだろう。走行中はドアの両側が白くイルミネーションで飾られているが、開く時はグリーン、閉まる時は赤と色の変化でドアの開閉を知らせてくれる。

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フランスのエスプリといえば、Square-Victoria–OACI駅入り口はぜひ訪れて欲しい場所だ。アールヌーボー調のアーチと街灯は、パリ交通公団(Régie autonome des transports parisiens)により、モントリオールメトロ開業記念として1967年に寄贈されたものだ。

トロントとはまた違う、ちょっとオシャレで粋なメトロの魅力を味わう旅をここから始めてみるのは、良い考えだと思うのは私だけだろうか。

文・写真:Makoto Hirata

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