03. カナダのご当地ビールいろいろ

カナダの地ビール探訪

03. カナダのご当地ビールいろいろ

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1)ドーソンシティー
極北と呼ばれる地域にあるドーソンシティーを訪れたのは、2013年の9月のことだった。トロントからバンクーバー、ホワイトホースを経由し、ユーコン準州の中に1年間にたった1週間ほどしか見ることができない秋の黄葉という珍しい風景を見るために、生まれて初めてトゥームストーン準州立公園へ向かった。北緯60度線(North of 60)以北はツンドラで有名だが、クルマを降りて歩くとふわりふわりと苔のような植物が足にまとわりつくようだった。秋のツンドラは、ことのほか彩が鮮やかだった。

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目の前に広がる壮大な風景は、ユーコン準州のキャッチフレーズ Larger than Life そのもの。人間が大自然と対峙する時、いかに小さな存在であるかということを思い知らされて胸が詰まる思いだ。どこまでも続くツンドラの草原と、はるか先にある山脈地帯。そのどれもが赤や茶色、緑といった、額縁をかざしたらまるで一枚の油絵のようなにも見える世界となって広がっている。

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白夜が終わるこの時期にはまた、夜中から明け方にかけて見事なオーロラが天空を舞う。ドーソンシティーの郊外では、360度が見渡せるドームと呼ばれる山頂で壮大なオーロラを見つめた。夜中の1時を過ぎてやっと訪れる日没後に訪れる満点の星空は、手を伸ばしたら触れることができるのではないかと思えるほど。宇宙をも手にすることができそうなカナダの大自然は本当に大きく、広く、心を深く揺さぶってくる。

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下界に降りると、ゴールドラッシュの時代に栄えたドーソンシティーの街には当時の名残がたくさん残されているのが対照的だった。古い郵便局、バー、劇場などなど。特に Diamond Tooth Gerties Gambling Hall では、ゴールドラッシュに沸いた華やかなりし頃を偲ぶ音楽とダンスショーなどもあり、ミニカジノでちょっとしたギャンブラー気分にも浸ることができる。

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この街で飲んだご当地ビールは Yukon Brewing の Yukon Gold と Yukon Red 。ゴールドはイングリッシュ・ペールエール、レッドはアンバー・エール、どちらもイギリスに起源を持つエールビールだった。ラベルのデザインがどれも鮮やかで印象的だ。全種類を制覇してラベルと集めたいと思ったビールは、実はここだけだ。オーロラが舞う空を思いながら飲むビールはまた格別だったことは言うまでもない。

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2)バンクーバー&VIA鉄道「カナディアン号」食堂車
バンクーバーは西部カナダ最大の都市で、海沿いの風光明媚な観光地としてカナダの中でも人気の場所だ。この街でも地ビール作りは盛んでたくさんの醸造所があるから、ビールをテーマにして街を旅することも楽しいものになるはずだ。2013年にこの地を訪れた時には、Stanley Park Brewing の 1897 Amber と Noble Pilsner という2種類のビールを飲んだ。ダウンタウンのバンクーバー・アートギャラリーに併設されているギャラリーカフェというおしゃれなロケーションで、休日であったにも関わらず多くの人で賑わっていた。

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大陸横断鉄道では、食事時になると乗客は列車内のダイニングカーへ向かう。場合によっては朝、昼、晩と3回を過ごすわけだが、特に夕食ではビールやワインをお供に食事を楽しむ乗客も多い。乗客全員をまかなうために、あらかじめA、B、Cと3つのグループに分けられたチケットを乗車時に手渡され、時間になると車内のアナウンスで呼ばれる。チケットを手に向かうと、ウエイターが座る場所を探してくれるのを待っていれば良いだけだ。4人席のダイニングカーにはテーブルクロスがかけられていて、さながらレストランそのもの。私は待たされてものんびりできるラストコールを指定することが多かった。

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ジャスパーからウイニペグへ向かうカナディアン号のダイニングルームで出てきたビールは、バンクーバーの Granville Island Brewing で生産されている Crpress Honey Lagar だった。乗員交換と食料の積み込みはバンクーバーとジャスパーで行われるので、バンクーバー発のカナディアン号で提供される食材はウイニペグまでは始発駅の街で調達されたものになる。グランビルアイランドはバンクーバーの観光名所として有名だが、ここにも醸造所がある。Cypressというのは杉の仲間で、ノルウェーではこれを使ったビールが昔から作られてきたのだそう。カナダは多民族国家だが、ビールもまた同じなのかもしれない。ちなみにスリーパークラスの場合食事は無料だが、アルコール飲料はその場で支払うシステムになっている。

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3)トロント
トロントのユニオン駅の正面にたたずむロイヤルヨークホテル(Fairmont Royal York)には、Royal Stinger Honey Beer という期間限定ビールがある。トロントの地ビール醸造所 Mill Street Brewery とのコラボでできたビールなのだが、その製法が独特だ。ホテルの屋上には独自の養蜂場があり、年2回ほどハチミツを採取している。持続可能な食の環境を考えて、農作物の生産に欠かすことができないミツバチを独自に保護するプログラムに取り組んでいる。

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副産物として生産されるハチミツは主に料理に使われるソースなどに使われるのだが、このハチミツを使ったハニー・ビールは期間限定だ。春から初夏にトロントを訪れたら、ホテルのバー Piper’s や Library Bar を訪れて尋ねてみてほしい。運が良ければこの珍しいビールを飲むことができるかもしれない。

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4)エア・カナダの機上で
日本からカナダ旅行をする際に、最初にカナダ産ビールに出会うエア・カナダの機内サービスを忘れてはならないだろう。注文する時に「カナディアンを」とお願いすれば、メープルのロゴが鮮やかなモールソン・カナディアンの、プレミアム・ラガーが提供される。爽やかで甘味を感じるビールを飲むたびに、機内でカナダに帰るんだな、と思わせる味だ。

カナダ最大のビール醸造所モールソンは、18世紀に製造を始めた現存する会社としてはカナダ最古のビール会社として有名だ。John Molson氏がモントリオールで醸造を始めたのが1786年。彼は地元の名士として多方面において街の発展に大きく寄与した人物だが、カナダ初の鉄道建設に大きく寄与したことで知られている。実はこの鉄道が完成する直前に他界し、新時代の幕開けを見ることがなかった。今の時代ジェット機の機上で彼のビールを飲めると知ったらどんな顔をするだろうかと、ふと思ってしまう。

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