01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ

「1000万平方キロ」の奇跡01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ

お気に入りに追加
01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ1

ロシアに次いで2番目に広い国土を持つカナダ。その半分以上を森林が占め、点在する湖の数は実に200万以上にものぼる。

国土の約7.6%を占める湖や行き交う河川に加え、寒さや雪、どこまでも続く原生林が、この地で生きる人々の「移動」を阻んできた。

それでも、ここで暮らして来た人々は生きるために、暮らすために、懸命に知恵を絞って北の大地を「移動」し続けてきたんだ。

01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ2

例えば深い雪の中を徒歩で進むためのスノー・シュー。日本の「かんじき」の何倍もの大きさを持つこの道具は、初期のこの国を形作った主要産業、ビーバー猟になくてはならない移動手段だった。

ビーバーの「罠猟」を生業とする先住民の「トラッパー」も、その毛皮を入手するため先住民の集落を訪ね歩いた毛皮交易人「ファー・トレーダー」たちも、このスノー・シューで雪の上を行き来していた。

そのビーバー猟では、やはり移動のために白樺の樹皮で作った軽量の「バーチ・バーク・カヌー」が大活躍した。なにしろ、水の上ではオールを漕いで進み、「水」が途切れれば次の「水」までカヌーを背負って陸上を移動したのだから。

01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ3

薄っぺらな樹皮で作られた水陸両用のカヌーによって、湖と川と陸を1本の「道」に変えてしまうー。「移動」にかけるこの地の人々の知恵と執念には心から驚かされる。

かつてカナダでは、犬ぞりは冬の重要な移動手段だった。人や荷物を乗せたそりを、犬たちが懸命に引っ張ってくれる。

犬ぞりが、生きるためになくてはならないものだったからこそ、休憩の際にはまず人間よりも先に、犬たちに食事が与えられたのだそうだ。

今、スノー・シューもカヌーも犬ぞりも、生活のために使われることはほとんどない。いずれもレジャーや観光、スポーツなどとしてその姿をとどめている。

01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ4

しかし、どの移動手段も、背後にじっと目を向けてみると、ちっぽけな存在にすぎない人間が生きるため、健気に、懸命に移動し続けきた姿が浮かび上がってくる。

今や、犬ぞりに代わって、カナダの人々はスノー・モービルという冬の移動手段を手に入れた。しかし、世界第3位の航空機メーカー、カナダのボンバルディア社が、実は今のスノー・モービルへと発展していく雪上車を生産する会社だったなんて、ほとんどの日本人が知らないと思う。

01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ5

また、スノー・モービルでは行けないような遠い場所へは、ブッシュ・プレインという飛行機が人や物資を運んでくれる。

滑走路がなくても問題は何もない。なにしろ、フロートを付けて湖に着水したり、スキーをはかせて凍った湖に舞い降りたりするのだから。

挙げ句の果てにカナダの人々は、凍った湖面を道路にして車を走らせることまでしている。よくもまあ、こんなことを次から次へと考えつくものだ。氷の上を自動車が走る「アイス・ロード」なんて信じられるだろうか。

01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ6

はるか昔からここで暮らしてきた先住民の人たちも、ヨーロッパからやってきたフランスやイギリスの入手者たちも、懸命に、健気に、移動を続けてきた。

その目的は、ビーバーの毛皮を得るためだったり、凍った湖から魚を採るためだったり、鉱物資源を掘り出すためだったり、実に様々だ。けれど、生きるために懸命に歩き、漕ぎ、飛んだ、という点ではまったく同じだ。

そして、生きるための「移動」という営みは、1867年に「カナダ」が建国されてから今に至るまで、何ひとつ変わっていない。

01. 歩く、漕ぐ、飛ぶ-イメージ7

997万平方キロメートル、およそ1000万平方キロメートルという国土面積を持つカナダ。

日本の約27倍という広大な大地を、生きるために移動し続けたカナダの人たちのその一歩が、そのひと漕ぎが、その無数の積み重ねが、カナダという国を作り上げたのだと僕は思う。

1000万平方キロメートルのカナダを作り上げた、健気な人々の「奇跡」を追ってみたい。

コメントを残す



カナダキャンペーン Close