超お手軽!! トーテムポール大紀行

04. 広告塔 クワクワカワクゥ族 ワカスポール

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04. 広告塔 クワクワカワクゥ族 ワカスポール-イメージ1
ワカスポール(複製)

スタンレーパークにも、表札代わりのポールが展示されている。クワクワカワクゥ族のワカスという名のチーフの家に立っていたポールの複製で、「ワカスポール」と呼ばれる。

クワクワカワクゥ族は、少し前までクワキウトル族と呼ばれていた。バンクーバー島北東部と、その対岸一帯の本土に住む人たちだ。

ワカスポールは、高さ12m。オリジナルのポールは、1895年頃、バンクーバー島北部沿岸に浮かぶ小島、コーモラント島のアラート・ベイ村に立てられた。

04. 広告塔 クワクワカワクゥ族 ワカスポール-イメージ2
ワカスポール(原型)

ポールの一番下には、ワタリガラスの顔が彫られている。上嘴は、カヌーを逆さまにして取り付けたもの。

オリジナルのポールでは、下嘴がパカッと開いて家に入れる仕組みになっていた。
また、背後の壁には、広げた翼、尾羽、足が描き込まれ、ポールと壁が一体となってワタリガラス全体を表現していた。

現在のポールは、1987年、ワカスの甥の息子にあたるダグ・クランマー(1927 - 2006)が彫った複製(レプリカ)だ。

04. 広告塔 クワクワカワクゥ族 ワカスポール-イメージ3
シャチを掴んで飛ぶサンダーバード

このポールには、クワクワカワクゥ族のポールの特徴がいくつか見られる。

<特徴 その1>
クワクワカワクゥ族のポールでは、一番上にサンダーバードかワシが彫られていることが多い。
このポールも、一番上はサンダーバードだ。両翼を羽ばたかせて、シャチを掴み上げている。

なお、サンダーバードは、ワシに似た怪鳥で、とてつもなく大きい。なにしろ、重さが平均6トンもあるシャチを、海から引き揚げるのだから。

サンダーバードが現われると、あたりは大雨や嵐になる。轟く雷鳴は、この鳥が翼を打ち合わせる音。目から発する光は、稲妻となる。サンダーバード、即ち「雷鳥(いかずちどり)」と呼ばれるゆえんだ。

サンダーバードも、ワタリガラスや他の動物同様、人に姿を変え、人間の女性との間に子どもを設けることがある。ただし、ワタリガラスとは異なり、「北アメリカ鳥類図鑑」には掲載されていない種類の鳥である。

ポールの真ん中に彫られた、長い嘴の鳥は、フーフーク。嘴で人間の頭骨を割り、目玉をついばむ、恐ろしい人食い鳥だ。この鳥も、鳥類図鑑には載っていない。

04. 広告塔 クワクワカワクゥ族 ワカスポール-イメージ6
ワカスポールの下部。二羽の鳥の嘴が付け足されている

<特徴 その2>
クワクワカワクゥ族のポールには、本体に、付け足された部分があるものが多い。

ワカスポールにも、サンダーバードの両翼、シャチの尾びれ、フーフークとワタリガラスの嘴が付け足されている。

付け足しによって、彫刻はとても派手な印象となる。他の部族のポールにはあまり見られない手法だ。

<特徴 その3>
クワクワカワクゥ族のポールは、色づかいも派手だ。ポール全体に、白・赤・緑・黄色・茶色・黒色など、カラフルな彩色が施されている。

04. 広告塔 クワクワカワクゥ族 ワカスポール-イメージ7

<特徴 その4>
彫りつけられた動物や人の像には、緑に縁取られた金壺眼(かなつぼまなこ)をくわっと見開いて、まっ正面を見据えた姿をした、恐ろしげな印象を与えるものが多い。

右の写真は、ワカスポールに彫られたクマの像。同じクマでも、既に見たハイダ族のものは柔和な印象を与えるが、それに比べると、こちらはかなり恐い感じだ。

スタンレーパークの横並び8本のトーテムポールのうち、5本がクワクワカワクゥ族のポール。全て、てっぺんはサンダーバードかワシで、うち4本は翼を広げた姿だ。

お土産物や玩具など、非先住民が造形した「なんちゃってポール」には、てっぺんに翼を広げた鳥を配したものが多い。クワクワカワクゥ族のポールは、多くの人がイメージする、いわば、「最も典型的なトーテムポール」なのだ。

文:横須賀孝弘

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