13. その一歩がカナダを作った

「1000万平方キロ」の奇跡

13. その一歩がカナダを作った

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雪の上を歩くために先住民の人たちが生み出したスノーシューは、木の枠組みと、皮革をより合わせた紐から成っている。カリブーやムースなどの皮から作った紐だ。

そのより合わせ方や網のような部分を見ると実に細かいつくりになっていて、それはきっと何世代にも渡る先住民の人たちの経験を経て到達した1つの様式美だと感じさせられる。

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降り積もった雪の上を沈まずに歩けるように、いろいろな工夫を積み重ねたことにより、機能性に富み、同時に工芸品のような美しさを合わせ持つスノーシューが出来上がったのだろう。

一方で現代のスノーシューはこの写真のように、アルミやゴム、プラスチックなどの素材からできている。

これらは確かに強度も優れているし、随分とスタイリッシュだ。しかし基本的な構造や機能面では先住民の人たちの知恵を拝借したに過ぎない。

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そして、その佇まい、その美しさにおいて、現代のスノーシューは木の枠組みと皮革でできた「元祖」の足元にも及ばないと思う。

日本でも、北海道でアイヌの人たちがこんな「かんじき」を生み出している。やはりマシーンのような今のスノーシューの対極にあるような、不揃いで人間味あふれるフォルムだと思う。

カナダでも日本でも、どうやって雪の上を移動するかを考え、試して、その経験の積み重ねから生み出されたことに違いはないだろう。

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もちろん今、昔ながらのスノーシューを作っている人はいないと思う。だから僕たちが体験できるのは、現代のアルミ製のスノーシューを履き、先人たちに思いを致すことだけだ。

だから冬のカナダを訪れたら是非、スタイリッシュなスノーシューを履いて雪の中を歩いてみて欲しいと思う。

イエローナイフに限らず、ガイドの人から周囲の自然について教えてもらいながら雪の中の散歩を楽しむ「ネイチャーウォーク」のようなツアーが設定されているはずだ。僕も体験したことがある。

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今と昔ではスノーシュー自体にずいぶんと違いはあるけれど、自分の足で、自分の力で、自分の意思で進むことになんら変わりはない。

雪原を歩むことを通じ、人々が一歩一歩、雪を踏みしめて歩いたからこそ、広大なカナダが少しずつ生活の場に変わっていったことが実感できると思う。

先住民の人たちが歩き、ヨーロッパからやってきた人たちもスノーシューの存在を教えてもらい、やはり雪の中を同じように一歩一歩移動していった。

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その目的はアイス・フィッシングだったり、毛皮を取るための罠猟だったりしたけれど、やがて目的は金やダイヤモンドの採掘、プレーリーの開拓などへと変わっていった。

それにつれて移動手段もスノーシューや犬ぞり、カヌーなどからスノーモービル、蒸気機関車、ブッシュ・プレインなどへと変化していくことになる。

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移動の目的や手段が何であれ、数え切れない人たちの移動の積み重ねによって、道が生まれ、土地が開墾され、資源が発掘され、物流が起こり、集落ができ、人が増えていったことに間違いはない。

人々は移動することによって、空っぽだった若い国・カナダに「中身」を詰め込み続けたと言っていいと思う。

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僕はこのカナダシアターで、カヌーでの移動や列車の旅についても原稿を書いている。よかったら是非、読んでもらえたらと思う。

「永遠のカヌー」 
http://canada.jp/stories/post-4415/
「カナディアン・ロッキーを越えて」 
http://canada.jp/stories/post-3209/

スノーシューだけではない。犬ぞりもスノーモービルも是非体験してみてほしい。

真っ青な空と真っ白な雪原と、頬をかすめる冷たい風の中で、人々がどんな思いで氷点下の大地を移動していたのかを感じることがきっとできると僕は思っている。(完)

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