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もっと知りたい カラフトフクロウ

【カラフトフクロウ】 フクロウ目 フクロウ科

漢字表記:樺太梟
英名:Great Gray Owl
学名:Strix nebulosa

全長:61-84cm(メス平均72cm, オス平均67cm)
翼開長:メス平均142cm, オス平均140cm
体重:790-1454g(メス平均1290g, オス平均1000g)
寿命:12年9ヶ月(野生での平均)
分布:北アメリカ北部(カナダ、アラスカ、ミネソタなど)、・ユーラシア大陸北部(ロシア、北欧など)
食べ物:主に小型の哺乳類(ハタネズミなど)

巨大なのに 獲物はネズミ?

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カラフトフクロウは、巨大なフクロウである。全長は、世界のフクロウの中でも最大級だ。しかし、その割に、体重は軽い。

アメリカワシミミズク

カラフトフクロウと同じくマニトバ州南部で見られる大型のフクロウ、アメリカワシミミズクと比べてみよう。

カラフトフクロウは全長61-84cm。アメリカワシミミズクの全長は43-64cm。カラフトフクロウの方が、二周りほど大きい。

ところが、体重は、カラフトフクロウのメスが平均1290g、オスが平均1000gに対し、アメリカワシミミズクではそれぞれ1608g、1224g。全長では二周り小さかったアメリカワシミミズクが、体重では逆に二周り重いのだ。

カラフトフクロウが見かけよりも軽い理由は、二つある。
ひとつは、「全長」の測り方だ。鳥の「全長」とは、鳥を平らな場所に、背を下にして寝かせ、嘴と尾を伸ばした場合の、嘴の先端から尾羽の先端までの長さを指す。頭や胴体は小さくても、尾が長い鳥は、全長も大きくなる。
カラフトフクロウの尾は、フクロウの中で最も長い。そのため、全長がいわば「水増し」されているのだ。

カラフトフクロウの頭部と頭骨を重ねると・・・見かけに比べ実体は驚くほど小さい

もうひとつの理由は、動画「ヒゲじいと訪ねるカナダの大自然 カラフトフクロウ」でも紹介されていたように、頭部をはじめ、全身がふわふわの毛に覆われていること。そのため、実体に比べて体が大きく見えるのだ。

カラフトフクロウは、いわば「見かけ倒しフクロウ」なのだ。羽を除いた中身は、日本のフクロウの中身とほぼ等しい。

こうした体格の差により、捕らえる獲物も違う。
アメリカワシミミズクの場合、ネズミや小鳥のほか、その力強い筋肉にモノを言わせて、ウサギやカモなど大きな獲物も捕らえる。

一方、カラフトフクロウは、小型の哺乳類が専門。マニトバ州南部での調査によると、獲物の90%がアメリカハタネズミ(MeadowVole)ただ1種類が占めている。ヤチネズミ(Red Back vole)もあわせると、食べ物の94%を、ハタネズミの仲間(vole)が占めているという。

カラフトフクロウは、顔の周りを羽毛で厚く覆うことによって、体に不釣合いなほど顔盤を大きくした。カラフトフクロウの顔盤は、あらゆる猛禽の中で最も大きい。

アメリカハタネズミ

その大きな顔盤を駆使して、60cmも積った雪の下のハタネズミが出す微かな音も聞きつけて、捕らえることができる。

フクロウの仲間の多くは耳が鋭いが、カラフトフクロウのようなマネはできない。おかげで、カラフトフクロウは、冬の間、雪の原野のネズミを独占できるのである。

大きな顔盤で、深い雪の下のネズミの音をとらえる

ネズミが潜む真上をめざして舞い降りる

姿の見えないネズミを狙い、長い脚を繰り出す

見事に捕らえた

カラフトフクロウ

真冬のマニトバ州南部は、寒さが厳しく、気温が-40℃にも下がる。寒さの苦手なフクロウの中には、冬が来る前に南へ渡るものもいる。
しかし、カラフトフクロウは、全身をふかふかした羽毛に厚く覆われているので、寒さも平気。しかも、雪原のハタネズミを独占できるので、狩りには最適のシーズンである。カラフトフクロウの体重は、冬に最も重くなる。

カラフトフクロウの子育て

カラフトフクロウ

マニトバ州南部の森に、研究者の協力と指導により、カラフトフクロウの子育てを追った。

カラフトフクロウ

5月15日。アメリカカラマツの林にカラフトフクロウが営巣していた。

アメリカカラマツは、湿地に生える。明るくて湿気の多いアメリカカラマツの林は、アメリカハタネズミの好む環境でもある。

カラフトフクロウ

フクロウの仲間は、自分では巣を作らない。このカラフトフクロウは、タカの仲間、ハネビロノスリの古巣を利用している。

巣には、ヒナがいた。

カラフトフクロウ

ヒナは3羽。随分大きさが違う。メスは一日おきに産卵し、最初の卵を産むとすぐに暖め始めるので、ヒナの成長に差ができるのだ。

3羽は生まれたばかり。一番大きなヒナでも孵化して10日ほどだ。末っ子はまだ目も開いていない。

カラフトフクロウ

父親がハタネズミを運んできた。

ヒナは、まだ自分で体温を保つことができないので、母親が暖めつづけなければならない。だから母親は自分で狩りに出かけることができない。

子育てには父親の協力が欠かせないのだ。

カラフトフクロウ

父親は、獲物を母親に渡すと、すぐにまた狩りに出かける。

狩りは父親、獲物をヒナに与えるのは母親と、役割が決まっているのだ。

カラフトフクロウ

母親は、獲物を小さく引き裂いてヒナに与る。ヒナは、まだ自分で肉を引き千切ることができないのだ。ヒナの食欲は旺盛で、孵化した時には40gだった体重が、5日で3倍近くに増える。

カラフトフクロウ

ネズミを探す父親。コケや地面の下に隠れているネズミの位置を、音で突き止めて、捕らえる。自分の分だけでなく、母親やヒナの食べる分も捕らなければならないので大変だ。

ハタネズミの数は、年によって大きく変わる。

カラフトフクロウ

獲物の肉は、体が大きく元気のよい兄や姉が奪うように食べる。下の子は、上の子が満腹するまで、中々食べ物にありつけない。

ハタネズミが沢山いる年は、巣のヒナは全部巣立つことができるが、ネズミの少ない年は厳しい。

カラフトフクロウ

5月21日

上の子は、灰色の毛に包まれ、嘴が黄色く色づいている。形もフクロウらしくなった。

兄(姉?)がネズミを丸呑みにしてしまうので、末っ子は中々食べられず、体格の差は縮まらない。

カラフトフクロウ

5月26日

ヒナは二羽だけになっていた。母親と比べると、その成長ぶりがわかる。

もう母親がいなくても、暑さや寒さに耐えることができるので、母親も巣を離れ、狩りに出かけるようになる。

カラフトフクロウ

5月26日

ヒナは、巣の端からしきりに地上を覗いている。巣立ちが近づいているしるしだ。

吹きさらしの巣の上は、タカなどに狙われやすい。ヒナはまだ飛べないうちに、巣から転げ落ちるようにして巣立つ。

カラフトフクロウ

5月28日。

ヒナが巣立った。地上は危険がいっぱい。倒木をよじ登り、高いところで休んでいる。

次の日には、もう一羽も無事に巣立った。

カラフトフクロウ

ヒナは、巣立った後も3ヶ月ほどは、親から食べ物をもらう。その間に、狩りのワザを身につけなければならない。

巣立った若鳥のうち、冬を生き延び、再び春を迎えることができるのは、わずか20%ほどだという。

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コメント

  • おばんどう

    ノリロメオ曰く、カラフトフクロウの顔は御盆じゃね。

  • 首藤祥晴

    カラフトフクロウは、日本にしかいない

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