探訪!西部カナダの戦国時代

02. 森を駆けた男たち

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ウィニペグの街角

毛皮交易の時代をしのぶフェスティバル・ドゥ・ボヤジャー。カンジキ競走や、そり遊びなど、何気ないアトラクションにも、毛皮交易の歴史が映しだされているという。その背景をたどってみた。

ウィニペグは、人口70万の大都会。

初夏にもこの街を訪ねたことがある。賑やかな繁華街と、緑豊かで落ち着いた住宅地や公園が隣り合う、居心地のよさそうな街という印象をうけた。

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ウィニペグ中心部の東を流れるレッド川。 名前の通り、水は赤褐色

街の周囲は、世界でも有数の穀倉地帯。

ウィニペグは、小麦など農作物の流通の中心として発展した。

ウィニペグは、レッド川のほとりにある。

レッド川は、源をアメリカに発し、北へ流れてカナダに入り、ウィニペグを通って、ウィニペグ湖へ注ぎこむ、全長880kmの大河だ。

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フォークスの新名所「人権博物館」(青い建物)

支流のひとつ。アシニボイン川が本流のレッド川に注ぎこむ辺りは、両方の川からカヌーに乗って集まるのに便利だったので、6,000年の昔から先住民が交易などのために集まる場所となっていた。

今、その付近は「フォークス(The Forks)」と呼ばれ、国定史跡に指定されている。ちなみにフォーク(fork)とは「(河川などの)分岐点」を意味する。

訪れてみると、商業施設や博物館が並ぶ、ウィニペグっ子の憩いの場所だった。

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フォークスにヨーロッパ人が来るようになったのは、毛皮交易のため。

ウィニペグに初めての拠点を築いたヨーロッパ人は、フランス系カナダ人のラベランドリ。1738年のこと。「レッド川の合戦」に登場する二組のうちの片方は、ラベランドリが率いた人たちを再現したものだ。

ヨーロッパ系の人々の立場から見ると、大西洋から太平洋岸まで、現在のカナダにあたる地域は、ビーバーなどの毛皮を求めての交易によって開かれていった(ビーバーと毛皮交易については「ビーバー カナダを創ったスーパー・アニマル」を参照してほしい)。

17世紀(1600年代)の中ごろ、フランス系カナダ人の中に、奥地に出かけていって、先住民と取り引きし、毛皮を手に入れる人たちが現われた。人呼んで「クルール・ドゥ・ボワ(Coureur de Bois)」。「森を駆ける者」を意味する。

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クルール・ドゥ・ボワ。円い囲みがトボガン

クルール・ドゥ・ボワは、先住民から、カナダの大自然を生き抜くワザを学んだ。特に、旅をするための道具は、今もカナダで活躍している。

例えば、この絵のクルール・ドゥ・ボワが履いている「カンジキ(スノーシュー)」や、左端に見える、荷物運搬用の橇(そり)、「トボガン」がそう。

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北米インディアンのカンジキ

北米の先住民、インディアンは、地域ごとの雪質や深さにあわせて、様々なタイプのカンジキを作った。どれも、トネリコ材を曲げて作った枠に生革の紐を張り巡らすという、基本の構造は同じだ。

インディアンの発明したカンジキ(スノーシュー)は、アルミやプラスチックなど材質を変えながら、雪国で使われつづけている。

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荷物運搬用の橇、トボガン

トボガンは、底が平らで、先端が反り返っている。雪が積もった森で荷物を運ぶのに、もってこいだ。

人が牽いたり、犬に牽かせたりした。

カンジキ競走に参加する子どもたち
トボガン滑り

こうした伝統があったからこそ、フェスティバル・ドゥ・ボヤジャーのカンジキ競争や、トボガンを使ってのそり遊びが生まれたのだ。

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クルール・ドゥ・ボワはカヌーで交易の旅を続けた。フレデリック・レミントン画

そして、忘れてはならないのが、カヌー。川が凍りつく季節のフェスティバル・ドゥ・ボヤジャーには登場しないが…。

カナダは、名にし負う「森と湖の国」。広大な森に、大小無数の湖がちりばめられ、それら湖の間を川が縫うように流れている。

この国を旅するには、カヌーに乗って水路を辿るのが、一番だった。

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先住民のカヌー作りのジオラマ。マニトバ博物館

インディアンが発明した樺皮カヌーは、白樺(アメリカシラカバ)の樹皮を木の枠組みに縫い付けて作る。縫い糸には、唐檜(とうひ)の根を使用。

軽くて、丈夫で、小回りがきき、人や荷物を載せて水面を滑るように走る。

樺皮カヌーとカナダの人々との深い結びつきや、樺皮カヌーの詳しい作り方については、平間俊行さんが「永遠のカヌー」に詳しく述べている。是非読んでもらいたい。

plus

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メープル・キャンディー Maple Tuffy
「フェスティバル・ドゥ・ボヤジャー」では、先住民のもう一つの贈り物、メープルシロップを味わうことができる。暖めたメープルシロップを雪の上に流して作るキャンディーは、タフィーと呼ばれる。

文・写真:横須賀孝弘

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