01. さあ、バンクーバーへ

バンクーバー 海と風と森と01. さあ、バンクーバーへ

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バンクーバーにはいつも、海から渡ってきた風が流れている。広大な太平洋から生み出される、柔らかな海風だ。

風は無数のレジャーボートの間を吹き抜け、背後に林立するビル群へと向かっていく。

職場に急ぐ人たちの頭上を行き過ぎたあと、風はバンクーバーの街を抱くようにして広がる豊かな森の方へと去っていった。

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ダウンタウンのビルの壁面には、白い雲と青い空がきれいに写し取られていた。まるでさっきの海風の「置き土産」のようだ。

ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)、そして州内最大の都市バンクーバーは、札幌より北に位置しているにもかかわらず、太平洋を流れる海流のおかげで夏は涼しく、冬は暖かい。

きっとこれが、世界一暮らしやすい都市、とも言われる所以の1つなのだろう。

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だからここで暮らす人たちは、コーヒーを片手に仕事場へと向かう姿もに軽やかだし、ごく自然に日常のこととして街中でジョギングやサイクリングを楽しんでいる。

週末には木々が生い茂る森の中を歩いたり、愛犬とともに海辺の岩に腰をおろし、夕日に染まっていく海を眺めていたりもする。

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ここでは時間が穏やかに流れていく。

カナダで唯一、太平洋に面しているBC州、そしてバンクーバーを、僕は「出窓」のようだと思っている。

カナダという国に太平洋からの海風を吹き込ませる「出窓」。海を渡ってくる物や人、海からもたらされるあらゆるものをカナダへと迎え入れてくれる「出窓」だ。

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そして、もしバンクーバーがカナダじゃなかったとしたら、カナダという国の魅力は半減していたに違いないと思う。

実際、イギリスから独立したアメリカ合衆国は、ロシアからアラスカを買い取り、BC州の地をも飲み込む構えを見せていたのだ。

北米大陸の地図を見てもらえれば僕の言う意味が分かってらえるはずだ。

アラスカ州は、海岸線に沿って細く長く、南へと続いている。カナダの国土で太平洋に面している面積は、実は僕らが想像する以上に小さいのだ。

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この小さめの「出窓」を通って太平洋から流れ込む風には水蒸気がたっぷり含まれていて、その風が周囲の山々にぶつかり、森に大量の雨をもたらしてくれる。

おかげでここには世界有数の「温帯雨林」の森がつくられ、とてつもなく大きなレッドシダー(米杉=べいすぎ)の巨木が生い茂るようになった。

この巨木こそが、世界中の誰もが知るトーテムポールの材料となる。

実は大平原でバッファローを追っていたような先住民の人たちは決してトーテムポールを作ったりはしない。

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一族の祖先である動物やその物語を意味する「トーテム」は、太平洋の近くで生きる先住民の人たちだけのものだったのだ。

そしてこの「出窓」を通して太平洋からもたらされる最も重要なものこそが、今回の物語のキーワードである「サーモン」なのだ。

僕は今回の旅で、遡上するサーモンといっしょに川を泳いだり、グリズリーベアに出会うため森の奥へも足を踏み入れる予定だ。

また読者の皆さんには大変申し訳ないけれど、寿司をはじめ、さまざまなサーモン料理を「これでもか」というぐらい楽しむことにしている。

僕が伝えたいのは、これまで僕自身も見落としていたバンクーバーの新しい魅力と歴史の奥深さだ。そして僕のメッセージはたった1つ。

さあ、いっしょにバンクーバーに行きませんか。

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