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11. サーモンと泳ぐ

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自ら堂々と「サーモン・キャピタル」を名乗るキャンベル・リバーでは、川でサーモンといっしょに泳ぐ「サーモン・シュノーケリング」という、他ではあり得ないアクティビティを体験することができる。

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はたから見ると、このトップページの写真のようになる。ウエットスーツを着込み、シュノーケルをくわえて川の中を覗くと、水中を泳ぐサーモンを見ることができる、というわけだ。

自分で自分を見ようとすると、こんな感じ。ごついライフジャケットを身につけているせいで、若干ロボットみたいな動きになってしまう。

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いっしょのグループにはドイツ人らしい若いカップルがいた。えらく仲がいい。分かりやすく表現すると、かなりいちゃついていた。

ここで戯(たわむ)れるのは、サーモンとだけにしてほしい。あまり人間同士では戯れないよう、謹んでいただきたいものだ。

基本的に僕は、あまりアクティビティはやらないタイプなのだが、それでもカナダの旅では時々、なんとなく流れでアクティビティの取材をすることがある。

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例えば数年前だけれど、モントリオール近郊で気球に乗る、という取材をしたことがあった。

僕はひどい高所恐怖症なのだが、その僕がなぜか気球に乗って上空から紅葉の写真を撮る、という無謀な企画だった。

その時のことはいずれ原稿にするかもしれないけれど、結果としては朝方だったので霧というか靄というか、とにかく紅葉は鮮明には見えなかった。にもかかわらず、ひどく怖かった。そして着地の際には膝をぶつけて軽く怪我までしてしまった。

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そういえばあの時も、狭い気球のカゴの中、隣でフランス人カップルがいちゃついていて邪魔だった。そもそも僕はそういう運命の下にあるのだろうか。

それはともかく、何が言いたいかというと、今回のサーモン・シュノーケリングでは、ガイドの提案でまずは景気づけに男は川岸の崖から飛び降りろ、ということになったのだ。僕は高所恐怖症なのだ。

ずいぶん勇気を振り絞って飛んだつもりだったけれど、こうして写真で見ると大した高さじゃない。頑張ったのに本当に残念でならない。

さて、適当なところまでボートで移動し、そこからは、さあ、好きに泳いでこい、という感じでサーモン・シュノーケリングは始まる。

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実はこの取材に備え、水中でも撮影できるコンパクトカメラを購入してあった。まずは川底にエビがいたので試しに撮ってみた。

なかなか鮮明に撮れるものだ、これならサーモンだって、などと思っていたのだけれど、このアクティビティ、実はとんでもなくスリリングでスピード感に満ちていた。

普通、何かといっしょに泳ぐ場合、例えばマンタと泳ぐとしたら、自分のペースで泳ぎながら魚と戯れる、というイメージがあると思う。

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しかしサーモン・シュノーケリングは、泳ぐというより、ただただ川を流されていると言った方が正確だ。水面に浮かんだままと体が運ばれていき、向こうからは川を遡上するサーモンが猛スピードで突進してくるのだ。

まるで「スター・ウォーズ」の戦闘場面のようだ。違いと言えば、「スター・ウォーズ」はCGで、こっちの方は本物のサーモンだから迫力が違う。

無数のサーモンが僕の近くをかすめていく。ぶつからないのは単にサーモンがよけてくれているだけだ。

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こんな調子だから、サーモンの写真なんてとてもじゃないが撮れるはずがない。僕がようやく撮影できたのは、こんな感じの写真だけだ。

なんだかサーモンがのんびり泳いでいるようで、僕が体験したスリルとスピード感がまったく伝わらない。まるでさっきの崖から飛び込んだ写真と同じで残念でならない。

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さて、正直に言うとこのアクティビティ、かなり楽しかった。かつて気球以外でも、凍った滝を登る、というアクティビティを経験したことがあるけれど、僕の中では「サーモン・シュノーケリング」がダントツの1位だ。

まあ、比較の対象が気球と滝登りだ、高所恐怖症の僕にとって「サーモン・シュノーケリング」の評価が高くなるのは必然だとも言えるけれど、そうした事情を差し引いてもやっぱりダントツの1位だと思う。

たぶん、世界中でもここでしか体験できないだろう。なにしろここキャンベル・リバーは世界の中心、「サーモン・キャピタル」なのだから。

文・写真:平間俊行

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