Prince Edward County

STARRING SAKIKO HIRANO FOOD ESSAYIST

平野紗季子 (フードエッセイスト)

プリンス・エドワード・カウンティの
“おいしい”を巡る旅へ。

平野紗季子さんが向かったのは、美食の宝庫として近年注目を集めるプリンス・エドワード・カウンティ。 真摯な食の生産者を巡る、おいしい旅の始まり!

トロントから東へドライブすること、およそ2時間。フードエッセイストの平野紗季子さんが訪れたのは、オンタリオ湖の北東岸に面するプリンス・エドワード・カウンティ(PEC)だ。ワイン造りの土壌に恵まれたPECには小規模ながらカナダを代表するワイナリーが点在しており、ワインの産地として評価が高まっている。

良質な農作物を産するファーミングエリアとして知られていたこの地に、有名シェフらが足繁く訪れるようになったのが2000年代初頭の頃。以来、安心・安全を追求したオーガニック野菜の生産者や高品質のチーズ工房、ローカル食材にこだわるレストランやカフェが登場し、一躍、カナダのスローフードシーンを牽引する存在になった。

パイオニア的存在のワインメーカーやサイダリーのもとを訪れ、自慢の銘柄に舌鼓を打ち、ファームでは季節の野菜の収穫体験。ローカリズムにこだわるレストランで素朴ながら力強い料理の数々を味わう。ハイライトは、夕暮れ時のオンタリオ湖だ。白砂のビーチへ繰り出せば、茜色に染まる空と湖面の美しさに圧倒される。「ラップトップは家に置いて、ただただぼんやり、静かなビーチで日が暮れるのを眺めたり、シンプルに調理された肉や野菜、地元産のワインを味わったり、ハンモックにゆられたり。ここではそんな過ごし方がいい」と平野さん。平野さんを魅了した、のどかな田園風景と上質なワイン、新鮮な地元食材をお目当てに、 オンタリオ州東部のカントリーロードを旅してみよう。

ワイン通をうならせる、PECワインのパイオニア。
クロッソン・チェイス・ヴィンヤーズ

1998年にスタートした、PECでは最古参のワイナリー。35エーカー(約0.14㎢)の畑で、ヨーロッパの伝統的な製法を用いてシャルドネ種とピノ・ノワール種、ピノ・グリ種を栽培する。ミネラル豊富で石灰岩を含む水はけのよい土壌はフランスのブルゴーニュ地方のそれとよく似ており、シャルドネ種やピノ種の栽培に適したテロワールだという。「こちらの冬はマイナス20°Cにもなるから、冬になる前にブドウの木を一本一本、土中に埋めるんだよ」と、ワインメーカーのキースがこの地のワイン造りの苦労を語ってくれた。平野さんはどこまでも広がるブドウ畑を前に、キース自慢のワインをテイスティング。「おいしいワインを味わって、庭のハンモックでお昼寝。夢かと思ったけれど、サンダル焼けは現実でした」

オーガニックかつサステイナブルなブドウ栽培にも積極的な、PECのパイオニア的ワイナリー。

地元の画家、デイヴィッド・ブラックウッドが描いた作品をモチーフにしたラベルが印象的。

テイスティングスペースが設けられているのは、ブドウ畑の前に広がるガーデン。

Shop info at Toronto

CLOSSON CHASE VINEYARDS

629 Closson Rd, Hillier, ON K0K 2J0
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Tel. 613-399-1418

営業時間:11:00〜17:00
定休日:2/3〜4/14の平日、12/24〜2/2
カード:MASTER、VISA
WEBhttp://clossonchase.com

ビーチへ行く前に調達したい、とっておきの地元食材。
アグラリアン・マーケット

2012年にチーズ工房としてスタートしたグローサリー。ローカルはもちろん、オンタリオ&カナダ全域産の各種チーズに加え、地元産の新鮮な農産物、シャルキュトリ、オリジナルのソースやペースト類、焼きたてのパンやペストリーを提供する。サンドウィッチにチーズ、ソーセージ、クロスティーニなどを詰め合わせた「ピクニックバスケット」はビーチを訪れる人々に人気。コーヒーカウンターも併設しており、「チェリー・ボム・コーヒー・ロースター」の豆を使ったこだわりの一杯をテイクアウトできる。

ローカル食材で作ったペーストやソースは、ホームメイドのクロスティーニと相性抜群。

焼きたてのシナモンロールが飛ぶように売れるベーカリーコーナー。

2年前、ブルームフィールドからこの地に移転。旧店舗では現在、レストランを営む。

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AGRARIAN MARKET

4 Lake St, Picton, ON,K0K 2T0
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Tel. 613-476-0001

営業時間:9:00〜19:00(月〜土)、9:00〜17:00(日)
定休日:無休
カード:MASTER、VISA
WEBhttp://agrarianmarket.com

カナディアン・デザインに見惚れる、コージーな宿。
アンジェリーンズ・イン

ブルームフィールドにある家族経営の小さな宿は、若きオーナーが自ら手がけたというスタイリッシュな内装が自慢。部屋ごとにしつらいが異なるインテリアは、伝統的なカナディアン・デザインをベースにヴィンテージ家具とモダンな意匠をミックスしている。併設するレストラン「シードリングス」は今年4月にリニューアルオープンしたばかり。「ファーム・トゥ・テーブル」をコンセプトに、PECの旬の食材を駆使したカナディアン・キュイジーヌをいただける。「ローカルアーティストの作品をあちこちに飾ったコージーな宿は、地元野菜たっぷりのディナーやのんびりとした時間の流れもあいまって、PECの魅力が凝縮されているように感じました」

ジャスティン・トルドー首相もプライベートで滞在したという「バビロン・ログハウス」1泊449カナダドル

こぢんまりとしたレストラン「シードリングス」。メニューには地元食材がずらり。

ロビーに並ぶ地元作家が手がける雑貨類はお土産にぴったり。

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ANGELINE'S INN

433 Main Street, Bloomfield, Ontario K0K 1G0
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Tel. 613-393-3301

全15室+4棟 バス付き4室、シャワーのみ15室
ウォルター・エコノミー139〜149カナダドル、スイート169〜265カナダドル、コーチ・ハウス・ロフト349カナダドル、シャレー339カナダドル、ピクトン・ハウス360カナダドル、バビロン・ログハウス449カナダドル
営業時間:レストラン8:00〜13:00、17:00〜22:00
定休日:無休
カード:AMEX、MASTER、VISA
WEBhttps://www.angelines.ca

オンタリオ湖を眺め、フレッシュなサイダーを。
カウンティ・サイダー・カンパニー

リンゴの産地でもあるPECでは、リンゴの発泡醸造酒であるサイダーも試したい。「カウンティ・サイダー・カンパニー」は、 地元の食を巡るドライブルート、「テイスト・トレイル」に加盟しているサイダリーだ。テイスティング・カウンターでは、伝統的な8種のリンゴを用いて造られる7種のサイダーを味わうことができる。サイダーはあまり飲んだことがないという平野さん、「発酵ならではの自然な泡と風味が魅力的」と、その味わいを気に入った様子。テイスティング後は、オンタリオ湖を一望するパティオのレストランへ。丘の斜面に広がるリンゴ畑を前に、オンタリオ湖から吹く風を感じながら冷えたサイダーで喉を潤す。PECのおおらかな自然を堪能できるひとときだ。

この地で20年以上もハードサイダーを造るサイダリー。レストランだけの利用も可能だ。

ピザ用の石窯を備えたレストランでは、サイダーに合う料理を用意。

1830年代に建てられた納屋をリノベートしたテイスティングルーム。

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THE COUNTY CIDER COMPANY

657 Bongards Crossroad,Waupoos, Ontario K0K 2T0
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Tel. 613-476-1022

営業時間:テイスティングルーム:10:30〜18:00 レストラン:11:00〜18:00
定休日:テイスティングルーム:11〜12月の平日
カード:AMEX、MASTER、VISA
WEBhttps://www.countycider.com

オンタリオ湖岸で、白砂のビーチに憩う。
サンドバンクス州立公園

四国ほどもあるという広大なオンタリオ湖。湖岸から白砂の砂丘が続く「サンドバンクス州立公園」を地元の人々は「ビーチ」と呼んで親しんでいる。カヌーやSUP(スタンドアップパドル)などの水遊びやバーベキューに興じるなど、海と同様のアクティビティを満喫しているのだ。15㎢という広大な敷地内には2〜3.5km程度の3つのトレイルとキャンプサイトを完備。春と秋はバードウォッチングに最適で、園内のビジターセンターでは自然観察ツアーを開催している。

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SANDBANKS PROVINCIAL PARK

3004 County Road,12 Picton, Ontario K0K 2T0
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Tel. 613-393-3319

営業時間:8:00〜22:00(4/27〜10/9)
定休日:冬季
入場料:車1台につき1日17カナダドル(徒歩の場合は無料)
WEBhttps://www.ontarioparks.com/park/sandbanks

SAKIKO HIRANO

Instagram : @sakikohirano

フードエッセイスト。雑誌やウェブなどでの執筆を中心に活動。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社刊)がある。
http://sakikohirano.com

vidéo et photos : TISCH (UM), réalisation : RYOKO KURAISHI, coordination : YUUJI NAGAOKA

【基本情報】
※1カナダドル=約85円(2018年8月現在) ※日本から電話をかける場合、カナダの国番号「1」のあと、市外局番へと続きます。カナダ国内では掲載どおりかけてください。 ※掲載店の営業時間、定休日、商品の価格などは取材時と異なる場合もあります。ご了承ください。

vidéo et photos : TISCH (UM), photos : PETER ANDREW LUSZTYK (Hamilton, Toronto),
réalisation : RYOKO KURAISHI, coordination : KOZUE SATO (Hamilton, Toronto), YUJI NAGAOKA (PEC)